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『観念的思考法』⑵
『観念的思考法』⑵
㈠
思考法を鑑みれば、少しばかりの、静謐な場所へと身体を移動できる。何もない山奥深くにおいて、人間が自然と融和する様に、その観念的思考法は、見事に調和を持って、自身を素晴らしい場所へと導いてくれるのだ。これは、鍛錬を重ねた、頭脳の思考法だからこそ、出来る技でもある。
㈡
簡単なことなど何もない、と自分はかつて言ったが、それは、脳髄で、人間は絶えず思考しているため、休息の余地がない、という点で、簡単なことなど何もないと言ったのである。物事は、霧中において、思考法の裏に隠れてしまうのだ。
㈢
ただ、単純なる思考の果てに、観念を持ち込んだ時、ああ、そうか、と言った、一つの認証と沈黙が訪れる訳であって、そこには天から差す光の様に、思考法が生じる。観念的思考法は、このように、自由の元であればこそ、実存しているのだといっても、過言ではないと思われる。