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『観念的思考法』⒅
『観念的思考法』⒅
㈠
観念的思考法が、虚空の彼方に投げ出される時、確かに思考法は、明滅するし、点灯するのであって、そのままの現実を直視する場合には、観念的思考法は必要ないとされるだろう。しかしまた、人生の一部を、観念が占めているのも現実であって、そこから目を逸らすことはできない。
㈡
要は、どこにでも起こり得るという現象が、人々を現実から幻想へと誘うのだ。まるで無知な振りをして、真実的には既知であったということが、多々あるし、精神を否定しないならば、当たり前の様に、真実は真実として降ってくるのみだ。
㈢
結句、思い通りにならなかった人生があったとしても、この世に生まれてきたことが、何より重要なのである。それは、必ず感謝すべきことなんだろうと、現実が自分に諭してくる。何れ、観念的思考法が、途絶える時が来たとしても、人生の或る部分を観念的思考法が占めていたならば、それなりに意味があったのだろう。




