8話
「嬉しいな? ウクライナ? そーれ、ここ! ウクライナ!」
左手の人差し指で地球儀を突き上げる!
「良いスタート? イースター島? そーれ、ここ! イースター島!」
右手人差し指も同じく地球儀を突き上げる! すると、私を中心に旋風が巻き起こり始めたッ!!!
「な……なにを!? これは……このチカラはいったい……ッ!!」
止めどなく回転を増す地球儀は、周囲の空間までをも巻き込み、その波動は益々膨れ上がる。
金色を超越した、真っ白な世界がすべてを包み込んだ。
「ま、待ってくれ! お前の弟を甦らせよう!!」
「ウォンチュー! あれは嘘だ! 知り合ったばかりで、あまり知らん奴だ知人以下だモブキャラだ!」
――二つの地球儀は目の前で一つとなり、神々しい輝きが溢れ出す――
……これで、終わりだッ!!!!
「た、頼む! 助けてくれ!!」
「君のハートに‥‥‥」
――魔王の懇願は、光に飲み込まれる。
「あ、あ、き、消えたく‥‥‥ないよぉぉぉぉ!!」
「‥‥‥レボ★リューーーション!!!!」
――全てを浄化する激しい閃光が幾重にも迸り、魔王の体を貫くッッ!!
‥‥‥私は全ての力を放出して魔王を倒した。だが、逆転の能力も失ってしまった。
また、その余波的なご都合主義のソレで記憶まで消え去った。人は火事場の馬鹿力と云うヤツを発動すると、頭の毛細血管とか何か色々な所に負荷が掛かって思い掛けない事になるものだ。例え友人や家族が居ない者でも、無理をすれば誰かが悲しむ。そう、未来の自分が困ってしまう。
是非、お体をご自愛いただきたい。
――という事で、私が勇者として真に目覚めるのは十数年後‥‥‥未来でのお話し。
「何があったのかサッパリ分からないが、とにかく腹が減った! 店を探そう!」