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3話

「兎に角、その恥ずかしいピンクのフリフリ衣装はキツイから、家に入れよーー部屋に入れよーー」

「何だか急に身の危険を感じてきた!」


 ……こ、これは男が女を強引に家へ……け、け、けしからん! こんな朝早くから、けしか乱舞! 私も加わりたい若い娘と色々したい!!

 そんなクールな反面、時に熱さを見せる私が必死の形相で辺りを見回すと、たいした特徴もなく容姿も良いのか悪いのか何とも言い難い制服姿の男と、ピンク色のフリフリしたいかがわしい恰好の娘さんが言い争っているのを見付けた。

 これは、何事だ!? 事件のニホヒを感じた私は、颯爽と駆け付ける。


「あいや待たれぃ! ウェイトだ少年少女ッ!!」

 これでも私は大岡越前の生まれ変わりではとネットに書き込まれても不思議ではない程の名裁きをしそうな雰囲気である。男女のイザコザなぞアレコレでササッ!だ。


空)何この汚いオッサン(マテコラw

「変なんです! この人、さっきから変なんです!」

 ピンク色の変な娘が、変な少年を変だと言う。そのゲシュタルト崩壊な状況の中、私の鋭き嗅覚が反応した。

「確かに変だ。だが、何だかキナ臭い! 厨二病臭い! 否、小便臭い!!」

「空)小便臭いのは、この女が。。。(悲しそうに空を見上げる)

※すみません、お風呂入ってくるんで少し落ちますwww」

「止めて! 閲覧者が殆ど居ない、むしろ来てページを開いても即座に去ってしまう様な此処だけれど、色々と怒られそうで怖いから止めて!!」


 勇敢なる私は、恐怖にわなわなと震えている小便臭い少女を守るべく、少年との間に入り指を突き付ける。

「相変わらず状況が分からないが、乙女を脅かす男は悪だ! あと、顔さえ良ければ小便臭さもご褒美だ!」

 私の決め台詞に辺りは静まり返る。ふっ、我ながら決まった。こんな時の為に、こんな台詞を叫ぶ事を脳内練習していたのだ。

 そんなネットに名言集として載せられそうな決め台詞を聞いて尚、制服姿の少年は気でも狂ったかの様にヘラヘラと薄気味悪い笑顔を浮かべて呟いた。


「名前)鳳凰院 空斗

 年齢)17歳

 職業)高校生そして闇探偵

 種族)ヒト

 信条)偽善は許さない!

 好きな言葉)孤独

 特技)嘘を見破る

 股間)大きい      」

 訳の分からぬ言葉の羅列に、ピンク小便美少女が、より一層怯え始める。

「プ、プロフィールぅぅ! コイツ、いきなりプロフィール語り始めたぁぁ! 正気っすかー!!」

 さっぱり何だか分からないが、この状況は私にとって好都合だ。好★都合だ! 錯乱している隙に、少女を守るフリして触ったりチョメチョメしたり等々してしまえる! 私の心には、そんな邪念……否、淡く純粋な期待が芽生えていた。

 そんな私の熱烈な視線に気付いたのか、このアバンチュールガールはハッとした表情で見つめ返してきた。

 ははーん、さては吊り橋効果なアレで惚れなすったな? 火傷するぜ、お嬢ちゃん。


「ま……まさか……私が幻想世界から転移する際に魔物が紛れてやってきて、彼に乗り移ったパターン!?」

 うん、良い具合に錯乱したままだ。ネクストチャンスステージだ。


「ふひひひ! よくぞ見破った! 流石は宮廷魔術師!」

 制服姿の少年と、何か通じ合った様だ。良かった良かった。

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