1話
――――Prologue▼
俺はどこにでもいる普通の高校三年生。たいした取り柄も無ければ女っ気も無い、退屈な日常を過ごす毎日の日々。そう、あの日までは……。頭痛が痛い。
「ひゃあぁぁぁぁぁん! どどすこぉぉぉ!!」
「ん? 空から間抜けな声が聞こえる気がする気配」
ちゅどーーーーーーーーーーん!!
「いったぁぁぁい! マジいったぁぁい!」
「おいおい、痛いのはコッチだよ! いきなり空から降ってきて、人の顔の上に座りやがってーーー(小便臭いなぁ。プンプン!)」
「きゃん! どこに顔やってんのよぉ!///」
「そっちが俺の顔の上に乗っかってきたんだろぉ! この貧乳!」
ピンクのフリフリがそこら中で揺れる不可思議な格好の少女が、俺の顔の上に座り込んで怒っていた。
(もう! 小便臭いったらないよ!)
「私は何を隠そう幻想世界アリアバン国からやってきた天才美少女宮廷魔術師! 伝説の勇者様を探しに人間界にやってきたの!」
「……」
よく分からないけど、取り敢えず落ち着く為にも空気をいっぱい吸い込んでおいた。
(もう、小便臭いなぁー……)
「いつまで嗅いでんのよッ!///」
異世界ファンタジー的
冒険活劇Ⅱ
~ 学 園 編 ~
――嗚呼、面白くない。
私は保健屋の営業職なのだが、朝の九時から会社で会議が行われる。今月のノルマに対しての進行状況やら営業計画やら話し合い、十時には御得意先様への訪問や新規開拓へと向かうのだが……私は入社以来、契約を取った事がない。そんな頑張りが上手く反映されない可哀想な私に対して上司の奴が「お前に会議は必要ない」と言いやがった。話してる暇があるなら外で走り回ってこい……と。
全く、私の脚力に注目して……さては我が社はオリンピックとか狙っているのか? やれやれだぜ。
嗚呼、保健屋と保険屋を間違えたけれども、これは致し方無いミス。否、むしろミス。
私は入社以来一件も契約を結んでいないので、保険の文字を忘れがちだ。業界用語で『給料泥棒』ってやつだ。トレジャーハンター的なインディージョーンズだ。皆からはジョーンズ博士と呼ばれている……事はなく、むしろ認識すら危うい。
そんな私の楽しみは、お弁当屋さんで買うスペシャル海老フライ弁当だ。これがあるから辛い仕事も頑張れる。そして、夜のお友達……スナックで働くキャサリンちゃんという爆乳美女。恥ずかしながら妻子ある身だが、走り出したら恋は止まらない。福山なんとか雅治とかいうイケメンが言っていたから間違いない。
……巨乳は良い。
古来より珠玉とされた曲線美が集約された芸術だ。そしてフワフワした感触。母性と異性と云う表裏一体の妖艶さも兼ね備えている。健全たる男子諸君は巨乳を愛するべきだと云う教えを説きたい。
そんなこんなで誤字をしつつも入社以来を入社依頼と書いていた事に気付き慌てて訂正した。流れで書いているので、最初の誤字を敢えて的な感じにしたが、他はもう良い。そんなグダグダな文章で私の知的さが水の泡だ。ウォーターバブルだ。ちょっとカッコイイ。
……と云う彼是を話していてもとめどなく、はてしない物語なので止めよう。男は諦めが肝心だ。誤字は優しさで脳内変換希望だ。
さて、私はこれから何をしようかというと……高校だ。ハイスクールだ。閃いてしまったのだ。高校で社会人予備軍のお子様ランチ達に保険の勧誘をするのだ。社会の辛辣さを知らぬ小童共だ、きっとチョロイ。