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ハメられそうになりました

「だから、なんでここに幻惑王と公爵令嬢と公爵夫人がいらっしゃるんですか?」


 ぞっ・・・ぞぞぞっっと、公爵様のものらしい畏怖が襲ってきた。公爵様もどこかから監視しているらしい。


 旅立ちの朝、冥界王クロノワール様が、普段の生活の公私共に僕のパートナーになりつつあるヘイム商会の商会長クロと共にヘイム商会所有の真っ黒な馬車に乗り込んだのを確認後、帝国皇室の旗がはためく皇太子専用の馬車に僕が乗り込んだところ、馬車の中に幻惑王ユズシェル様とクリスティーナ公爵令嬢とリオーナ公爵夫人が座っていたのだ。


「なんでって決まってるじゃない。ほら冥界王を蔑ろする際にイチャイチャする相手が必要でしょ。普段から蔑ろにされている私や公爵令嬢とイチャイチャすれば効果的だし、新たな女も居たほうが何かと都合がいいじゃない。」


 まるでここの会話が聞こえているかのように、公爵様の恐怖が次第に強くなってくる。馬車の中は外から見えないから、いろいろと想像しているのだろう。早く出発してくれないかな。


 イチャイチャぶりを見せつけることでクロノワール様の機嫌を左右させようということは僕も考えていた。そのためにクロを連れてきたつもりなのだ。


「ダメよ。分体の商会長を使おうなんて考えは、きっと冥界王の機嫌は分体が愛されている満足感と蔑ろにされている閉塞感で心が引き裂かれてしまうわよ。そうなったら、ヘルヘイム国も滅茶苦茶になってしまうに違いない。軽くジャブに使うくらいにしておきなさい。」


「どうして、それを・・・?」


 まるで僕の心を読んだような返答に言葉が詰まってしまう。


 この辺りでようやく馬車が出発してくれた。公爵様の恐怖から解放される。ああやれやれだ。


「リオーナが侍女として付いた今、私に手に入らぬ情報なんて無いのよ。身体を繋げる1歩手前までいっている貴方たちにはツライかもしれないけど、冥界王の前で一線を越えるのだけは止めてちょうだいね。」


 僕たちの関係が何処までいっているかも掌握済みらしい。恐いです幻惑王。


「さて、魔界に着くまでに3人の中から選んで頂戴ね。基本的な情報を教えておくと身も心も処女のクリスティーナ。身体だけは自信持って処女と言える私。身も心も非処女のリオーナね。」


 幻惑王が処女かどうかなんてどうでもいいが、意外にも公爵令嬢が処女なんだ。多くの男性を渡り歩いているというのはただの噂らしい。


「ユズシェル様っ! 物凄く悪意を感じます。確かに娘は一途にモトラヴィチ様を思い続けていますが、私とてアレックスだけ、ショタにBLにモフモフにSMに果てはイケメンなら何でも良くと浮気心いっぱいの貴女とは違います。」


 公爵令嬢の恋心は一種の刷り込みのようなものだと思う。誘拐されかけたところに助けに現れた男性なら誰でも一緒じゃなかろうか。


「さあ誰を選ぶの? 私よね。モーちゃんを快楽の旅に連れて行ってあげるわ。」


 快楽の旅って何ですか幻惑王。それに手つきがいやらしい。


「いいえ。私ですよね。この見た目と熟れきった肉体のギャップを楽しんでください。」


 確かに可憐な外見と裏腹に男の視線を意識しているだろうと思われるドレスを着て身体をくねらせている。


 公爵様が恐いので結構です。なんか2人ともいつに無く露悪的な発言だなあ。


「とりあえず、保留ということでお願いします。場合によっては2人に芝居をお願いするかもしれません。」


「「ええっ。クリスティーナを選ばないの?」」


 2人に思いっきり怪訝な表情をされてしまった。そんなに男心って単純じゃないんだけどなあ。


 なるほど公爵令嬢を選ばせたかったのか。だから変な発言が多かったんだ。でもなぁ公爵令嬢の思いは知っていても、面と向かって告白されていない人とイチャイチャは難しいんだよなあ。


 今でも同じ馬車の中にいるとは思えないほど無口で真っ赤になって俯いてしまっている。僕に嗜虐心が強ければからかう場面かもしれないけど、上司をからかって逆ギレされたら面倒なことこのうえ無い。このままそっとしておくのが一番良いと思う。


「はい。ご存知とは思いますが僕は早くに母を亡くしていますので、失礼ですが2人に母のように甘えたいんです。どうかよろしくお願いします。」


 どんな返事をしても面倒なことになりそうだったので攻撃に打って出ることにした。


 このままじゃあ、この2人の掌の上で転がされそうだもんな。


 ちょっと媚び媚びな演技だったかもしれないが2人の膝に縋がり付いて、上目遣いで言う。


「うんうん。どんなことでも言って。私はキズついたりなんかしないから。」


「これがショタ心というものなんでしょうか。何でもしてあげたくなりました。」


 そっと優しく2人掛かりで抱きしめてくださった。


 とりあえず、こちらの攻撃は成功したようである。ポルテ商店の常連になってくださる奥様たちの中にも男心を弄んで傍観者を決め込む方たちが時々居るんだよね。

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【新作】「勇者召喚に巻き込まれた悪役令嬢」を公開しました。
乙女ゲームと巻き込まれ召喚の王道テンプレの融合に挑戦します。
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