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12(リサ視点)

「リサ」


  こんな叔父様達を見るのは娘のジュリエンナも初めてなのか、戸惑った様な顔で私の腕を引くと「お父様達はどうなさったのかしら」と囁きました。


「分からないわ。叔父様はクラウビィン侯爵と元々仲が良いのかしら」


 そういう話は聞いた事がありませんが、先程からのやり取りを見ていると友人関係なのではという結論に達しました。

 叔父様達が普段どんな交流を持っているか詳しく知っているわけではありません。

 両親から聞いていた話では、叔父様とクラウビィン侯爵はそれぞれの派閥があるようですし、ジュリエンナとフィオリーナ様はステール殿下のお妃候補として名が上がっていましたから、そういう意味でも両家はライバルだった筈です。


「そんなお話聞いた事がないわ」

「そうよね」


 でも、叔母様もクラウビィン侯爵夫人も楽しそうに笑い合っていますし、目の前の光景は仲の良い友の様に見えます。

 ジュリエンナのお供で叔母様と一緒にお茶会に参加した事は何回かありますが、叔母様は物静かな私の母や祖母に似て大人しい方で、お茶会でも自分から話題を振るより他の人の話を聞く方が多い印象でしたし、叔母様の姉である私の母と話す時もあんな笑顔は見せた事が無かった様に思います。


「あの」


 四人の関係が分かりませんが、一応の解決には至ったと判断していいのでしょうか。

 私はためらいながら叔父様に声を掛けようと口を開きかけたのを、控えめなノックの音に阻まれてしまいました。


「そろそろ時間か、入れ」

「失礼いたします。ラクシュミリアン・フォルキンス様がいらっしゃいました」

「分かった。中へ」

「畏まりました」


 叔父様はラクの名前を聞いて少し眉間に皺を寄せながら、案内係の方に指示を出しました。

 私の両親は獣人への偏見は無くどちらかと言えば好意的で、ラクと私の婚約も快く承諾してくれましたが、叔父様はそもそも獣人を嫌っています。私の婚約についても反対される事は予想がついているので家族内の会議での結果、まだ叔父様達には話をしていません。

 今夜のパーティーで、私とラクが二番目のダンスを踊った後の叔父様達の反応が怖いですが、例え反対されても私はラクと結婚すると決めているのですからこれは覚悟の上です。

 まあ、日頃妹の嫁ぎ先であるペンナリユン侯爵に気を遣っている母が「想い合う相手と結婚することが一番の幸せよ。私達も彼を好ましいと思っているし問題はないわ」と言ってくれたのは意外でしたが。両親が反対していないのは有り難い話だと思います。


「ラクシュミリアン・フォルキンスです。初めましてクラウビィン侯爵、ペンナリユン侯爵ご無沙汰しております」

「東の国から留学してきた方だったかな、初めまして」

「君がなぜここに」


 不機嫌な表情を隠そうともせずに叔父様はラクを睨み付けるので、私は慌ててラクの側に駈け寄ると「ラクにフィオリーナ様の様子を見てきて貰うようにお願いしていたのです」と説明しました。


「そうだったのか、なら仕方ないな」


 どこまでも叔父様は叔父様です。ラクに労いの言葉もありません。「ラクありがとう。あの、ごめんなさい」俯いて囁くと、ラクは「気にすんな」と笑ってくれました。


「それはそれは、手間を掛けたね。ありがとうフォルキンス殿。フィオリーナの様子を聞かせて貰えるかな」


 ラクへの対応を見る限りクラウビィン侯爵は獣人に対して偏見は無い様ですが、見かけだけでしょうか。

 クラウビィン侯爵が獣人に好意的だったとしても、ラクは礼儀知らずでは無いのですが、自由奔放というかなんというかなので心配です。


「はい。フィオリーナ嬢は兄上のブラン様とご友人のファミシュア伯爵令嬢、そしてアステール殿下と共に着替えに向かわれました。アステール殿下から替えのドレスを用意頂ける事になった様です」

「アステール殿下……そうか」

「良かったフィオリーナ様ご無事だったのね」


 ラクの報告に私は力が抜け、その場に座り込みそうになってしまいました。

 自分では気がつきませんでしたが、ずっと気を張っていたのかもしれません。


「おっと。リサ大丈夫か」

「ええ。なんだか気が抜けちゃったみたい」


ラクに体を支えられなんとか体勢を整えると、心配そうに私を見ているラクと視線が合いました。


「全く、毎回毎回。リサが悪いんじゃないのに何頑張っちゃってるんだか」

「ラク。そ、それよりどうして殿下が東門に?」


 じろりとジュリエンナを睨むラクに、私は慌てて話を変えました。

 獣人嫌いな叔父様の前で、ジュリエンナを批難したらラクの立場がどんどん悪くなってしまいます。


「彼女の兄上ロバート様だっけ、彼を迎えに来てたみたいだな。というか、妹も妹なら兄も兄って感じで笑わない様にするのが大変だったよ」

「え」

「だって、二人の仲が悪いから少しでも話す切っ掛けになればと、ブラン様が注文した店を調べて似たドレスを作ってくれるように注文をしたと聞いて、リサなら笑ったり呆れたりしない自信ある?」


 何かを企んでいる様な笑顔でラクが話すので、私は「そんな自信あるわけがないでしょう」と思わず本心で答えてしまいました。

いつもお読み頂きましてありがとうございます。

更新遅くなりまして申し訳ありません。

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