表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

明日に繋がる道

もう一つのクリスマス

作者: minoarei

 12月25日、クリスマス当日に山森健一は、駅前のロータリーである人物を待っていた。


「こんな手紙を用意して何のつもりなんだ?」


 彼はその手に持つ封筒を見てそう呟いた。その封筒にはこう書かれていた。


『山森健一様へ』


その中身である手紙にはこう書かれていた。


『山森健一様へ この様なお手紙による挨拶失礼致します。山森様には、今月の25日のご予定を空けておいて頂きたく送らせていただきました。当日は、ご予定の方がなければ、川越駅のロータリーにてお待ちください。なんて、堅苦しくやってみたけど、私らしくないので、普通にします。12月25日に川越駅のロータリーで待ってて。服装は、正装してきて。じゃあ、当日楽しみにしてるからね。 綾川結衣より』


「結衣の奴、何考えてるんだ。一応、正装はしてきたけど……」


 健一は、手紙に書いてあったように、しっかりとした正装に身を包んでいた。


「それにしても遅いな」


 健一は、駅前のロータリーで愛しの彼女を待っていた。しばらくして、走って向かってくる人影が見えた。


「ごめん、お待たせ」

「……大丈夫だ。今さっき来たところだから」

「そっか。それじゃ行こっか」

「行くってどこに?」

「後でのお楽しみ」


 そう言って、結衣は健一の腕に自分の腕を絡ませて、目的の場所に向かった。


「なぁ、どこに行くんだ?」

「もうすぐ、着くから」

「もうすぐって……」


 しばらく進んだところで、結衣は立ち止まった。


「着いたよ」

「着いたって、ここは……」

「ずっと、来たかったの。健一と一緒に。ここのレストランから見る夜景を1度でいいから、一緒に見たかったの」

「1度だけじゃない。これから毎年、一緒にここに来よう。これから先、何度でも」

「健一……うん、約束だよ」


 その後、二人はそのレストランでクリスマスディナーを食べ、クリスマスの思い出を作った。


 これは、ありえたかもしれないもう一つのクリスマス。


 ♢ ♢ ♢


「なんて、馬鹿な話はないか」

「ん、何か言った?」

「何も言ってないよ、涼子」

「この後はどうするの?」

「そうだな。家に行くか」

「健一の家?」

「それでいい?」

「いいよ。健一になら、何されてもいいから」

「そんな事言うと、本当にしちゃうよ?」

「いいよ、健一のすきなようにしていいから」

「それじゃ、家に帰ろっか」

「ふふふ、今夜ははげしくなりそうだね」


 そして、二人は寄り添いながら健一の家に向かった。その夜、お互いの体も心も一つになった。その後、同じベッドの上で裸のまま向き合い、お互いの温もりを確かめるように、眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ