読書/メアリ・ホフマン 著 『聖人と悪魔 ―呪われた修道院―』ノート20160927
『聖人と悪魔 ―呪われた修道院―』 感想文
カテゴリ:小説/詩 2016/09/27
イタリアで初期ルネッサンスが勃興したのはシエナという町だ。そこに工房を構えるシモーネ・マルティーニという画家が、古都アッシジの礼拝堂にフレスコ画を制作していた1316年夏から秋の出来事だ。画家が探偵役となって問題を解決する。
ペルージャに居館を構えるモンタクトー男爵の跡取り息子シルヴァーノが殺人事件に巻き込まれ、容疑者になる。美麗な十六歳の若者は、アッシジの町の近郊にある、父親の友人・修道院長に匿われる。しかし、そこでもまた殺人事件が発生。窮地にたたされる。あわや修道院閉鎖というときに、画家が事件の謎を解く。
修道院の隣には女子修道院があった。そこに、持参金がだせなくて、女子修道院に押し込められたキアーラというヒロインがいる。昔裕福だった家庭に育った見習い修道女だ。主人公との馴れ初めは、それぞれの修道院で、顔料をつくって運営資金としており、係になっていたことだ。二人は画家に顔料を収めにいくので、恋が芽生え、なおかつ探偵役の画家に救われることになる。
結論から犯人は二人いる。最初の町中での事件は主人公の親友が痴情のもつれで起こしたもので、主人公の短剣を勝手につかって、はからずも容疑者にしたててしまった。修道院での事件は顔料につかう砒素をつかってのものだ。担当修道士が顔料の毒素で精神を病んでしまい犯行に及んだもの。
もちろんラストはハッピーエンドで主人公とヒロインは結婚する。
著者は、英国の女流児童文学作家で、本作品は怪奇ミステリになるのだそうだ。どちらが古いか判らないが、歴史ミステリの『薔薇の名前』にちょっと似ていて面白い。
全21節10-453頁(1頁15×46字)、400字詰原稿用紙換算600枚強というところか。キャラクター30名強。
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*メアリ・ホフマン 著 『聖人と悪魔 ―呪われた修道院―』 乾 郁美子 訳 小学館2008年
ノート20160927




