読書/カフカ「火夫」 ノート20161027
【概要】
カフカの「火夫」1913年に発表された作品である。~ドイツ青年カール・ロスマンは、女中に誘惑され孕ませてしまった。そのため両親の手でアメリカへ放逐。定期便船がニューヨークに入港しようとしたとき、傘をとりにゆき、船内で迷い、船の火夫に出会う。曰く、上司との折り合いが悪くて、仕事ぶりの割に冷遇されていることをぼやく。ロスマンは同情し、船長室に乗り込んだ。しかし日頃の勤務態度が悪いといって一蹴された。その船長室には、成功してアメリカに在住している伯父がいた。エドワード・ヤーコブは上院議員だ。ヤーコブはロスマンを引き取った。
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【所見】
また、本作は、未完絶筆となった『失踪者』の冒頭にもなっている。著者没後に友人マックス・ブロートが、遺作を編集し、『アメリカ』という題で世に出した。私は、フランスの映画監督ストローブ=ユイレの手になる、1983年公開のモノクロの映画DVD『階級関係』を図書館で視聴した。――村上春樹が『海辺のカフカ』で、カフカ少年の下りあたりなんかは、ほぼそのまんま、オマージュしている。
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*引用文献
フランツ・カフカ『カフカ小説全集4 変身ほか』白水社2001
~「判決」「火夫」「変身」3編も収録されている。「変身」は54-91頁、全48頁。47×19字≒800字。原稿用紙1000枚弱。




