読書/カフカ「判決」 ノート20161027
【概要】
カフカの「判決」は1913年に発表された短編である。
ゲオルク・ベンデマン青年は、父親の店を切り盛りしている商人だ。2年前に母を亡くして以来、父親と2人暮らしをしていた。ロシアで商売をやっている友人がおり、うまくいっていないようだ。自分は順調なので、文通をためらうようになる。だが、意を決して、一か月前に恋人との婚約の件を記す。青年はその話を病床にいる父親に話した。だが父親は認知症になっていた。自分の部屋と寝台のほうが寝心地が良いといって、善意で交換したのに、おまえにはロシアに友人なんぞいないとか、婚約者・女の色香に迷って、自分や友人、店の経営まで投げ出した。その友人を呼び寄せて、店の経営を任せる。おまえは死刑だと喚き散らす。言い争いの末、青年は両親に感謝の言葉をつぶやき、橋から投身自殺した。
【所見】
カフカの『青年たち』短編・三部作は、欧州前近代的な家父長権をもった父親と、後継ぎ息子が激突していずれもこってんぱんにやっつけられる。本編も同じだ。――村上春樹が『海辺のカフカ』でオマージュしている。
*引用文献
フランツ・カフカ『カフカ小説全集4 変身ほか』白水社2001
~「判決」「火夫」「変身」の『青年たち』3部作といえるのだが、本書にはこれら収録されている。「判決」は38-52頁、全15頁。47×19字≒800字。原稿用紙30枚弱。
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