読書/夢野久作『ドグラ・マグラ』 ノート20170111
夢野久作『ドグラ・マグラ』感想文
離婚病は、もう一人の自分の幻をみてしまう精神病の症状だ。
離魂病といえば、夢野久作が狂気を描いた『ドグラ・マグラ』というミステリ小説がある。主人公は、精神病棟に、精神病を患って隔離されていて、隣室には婚約者であるヒロインが収容されていた。――物語の背景には、中国・唐朝の玄宗皇帝が、楊貴妃に耽溺して政務を疎かにしたため帝国が荒れてゆくのを憂いた天才宮廷画家が、妻を殺害して、腐乱してゆく様相を描写していった。絵画作品を皇帝に献上する前に内乱発生した。画家は発狂したが妻の妹に保護され正気を取り戻す。二人は結婚し、子孫は日本にたどり着く。――画家の子孫である主人公は郷里で無差別殺人を行った末に、亡くなった。主人公の治療と事件解明に携わった医学博士は、紳士的であったのだけれどもマッド・サイエンティストで、狂人を回復させる実験に失敗した道義上の責任をとって投身自殺する。画家の記憶は、代を重ねても、狂気とともに繰り返し蘇り、物語のクライマックスでは、画家と主人公が対面もしていた。そして物語のすべてはヒロインの胎児の記憶でもあったのだ。
ノート20170112




