読書/水生大海『教室の灯りは謎の色』 ノート20170316
水生大海『教室の灯りは謎の色』感想文
出版社の希望により作成したミステリだとのことだ。不登校生徒を扱う、大検受験生を扱う特殊な塾が舞台。ヒロインがワトソン役で、憧れの男性教師がホームズ役。レンタルショップで万引きを疑われ教師に救ってもらう。他方で、不登校になった原因である高校で深刻な苛め問題があり、ヒロインは、間接的に関与してしまい贖罪を求めていた。折りしもその塾に当の被害者がおり、関係を修復しようとけなげに奮闘。ヒステリックな母娘による逆バッシングで傷つきながら耐えて問題を解決する。――社会派ミステリの一種かと思われる。テーマは友情だろうか。ヒロインの苛めへの贖罪について、実をいうとさして重大な関与をしていないむしろ被害者側母娘のほうが気色悪い。青年心理学によると、伝統的な苛められっ子パターンは攻撃性に対する周囲からの排除だ。善意の被害者構図ではない。そういう被害者に対して手を差し伸べれば焼けどする。物語なので……。
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目次
第1話 水中トーチライト 5 ……プロローグ
第2話 消せない火 48 ……序
第3話 彼の憂鬱、彼の選択 94 ……破
第4話 罪のにおいは 138 ……急
第5話 この手に灯りを 186 ……エピローグ
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水生大海『教室の灯りは謎の色』角川書店2016年8月
ノート20170316




