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もう一度妻をおとすレシピ 第6冊  作者: 奄美剣星
読書
31/100

読書/夏目漱石 『虞美人草』 ノート20170319

   夏目漱石 『虞美人草』 感想文

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「大学卒業のとき御賜の銀時計を貰ったほどの秀才小野。彼の心は、傲慢で虚栄心の強い美しい女性藤尾と、古風でもの静かな恩師の娘小夜子との間で激しくゆれ動く。彼は、貧しさから抜け出すために、いったんは小夜子との縁談を断るが……。やがて、小野の抱いた打算は、藤尾を悲劇に導く【…】」(『虞美人草』新潮文庫1951年初版・2011年百十五刷 裏書より)。――タイムリーで見逃したドラマだけれども、昔のトレンディーものとして有名な『男女七人恋物語』というのはきっとこんな感じなのだろう。テーマは夏目漱石が好む、『ハムレット』を下敷きとして、義理とエゴイズム(自然的な欲望)との狭間で揺らめく、六人の男女の恋愛葛藤だ。

章立て

1 【比叡山登山】005 頁

……比叡山を二人連れが登る。藤尾の兄・甲野27 、宗近28 二人とも帝大卒の学士だ。

2 【東京・甲野家の庭】023 頁

……小野30 ヵ、藤尾24 登場。艶談。小野は藤尾をクレオパトラに例えた。藤尾の母にいわせると彼女の兄・甲野さんは変人だ。

3 【甲野の部屋】046 頁

……自宅に戻ってきた甲野と宗近。春眠暁をおぼえず。兄妹の両親は健在。

4 【小野の描写】066 頁

……野心家の小野は孤堂先生の援助を受けた。旧友・浅井君登場。

5 【寺院境内の散策から川の舟遊び】084 頁

……甲野の自然観(弱肉強食・エゴ) 、宗近は聞き役。

6 【琴比べ】099 頁

……糸子登場。糸子は傲慢な藤尾に反感。火花散る。小野は藤尾と比較し藤尾に惹かれる。

7 【車中】115 頁

……可憐な小夜子登場。小野さん、孤堂先生と小夜子の三人が車で移動。富士がみえる。

8 【藤尾の母の部屋】132 頁

……藤尾と母の会話。甲野は哲学系高等遊民。小夜子が好意。剽軽な宗近は外交官試験に落第した。

9 【東京・孤堂先生の家】150 頁

……小野は貧乏。小夜子は古風。孤堂先生は小野と小夜子を近づけさせたい。

10 【東京・宗近・糸子兄妹の家】169 頁

……甲野は、妹を偏愛しつつ、世間体を気にして自分に跡を継がせようともがく、母を謎の女と呼ぶ。宗近・糸子の兄妹、甲野兄妹への思いについての会話。

11 【東京・花電車】195 頁

……甲野・宗近が藤尾・糸子と偶然遭う。小野合流。藤尾は甲野の女性蔑視が鼻につく。

12 【甲野の家】212 頁

……藤尾、小野に強く惹かれ始める。甲野に相続の意思がなく、妹の藤尾にやるという。

13 【水族館】253 頁

……甲野、糸子を誘ってデート。藤尾について、哲学者の妹評と、町娘の友人評。――自律を志す女が昨今の世には溢れてきた。その一人である藤尾の気性を危ぶむ。

14 【孤堂先生宅へ】264 頁

……小野、先生宅へゆく途中、宗近に遭う。それから先生宅で歓談。小野は自分に好意を寄せる藤尾に、先生の娘・小夜子との結婚の意志をいったことを回想した。

15 【甲野の家】306 頁

……小野、甲野の家の書斎をみて資力に憧れる。家族会議により、哲学者・甲野は相続の一切を妹にやる。妹は小野にぞっこん。母も小野との結婚を望む。

16 【宗近の家】340 頁

……宗近画外交官試験及第したのを父親に報告。妹・糸は兄が藤尾を愛していることを父親に告げる。他方、宗近は、妹の意をくんで甲野に嫁に貰うように掛け合おうとする。

17 【五人の葛藤】371 頁

……橋のたもとで小野は友人の浅井に、恩師の娘・小夜子をとるか莫大な婚資をバックにもつ藤尾をとるか迷っていうこと心境を話す。浅井は甲野の家を「ハムレットの家」と評した。他方、哲学者・甲野は妹の藤尾は堕落した女で宗近にはやれない。自分は家をでるという。宗近は、甲野に、妹糸子は一途に惚れているから自分の家にきて嫁にして欲しいと頼む。

18 【孤堂先生宅・甲野の家】399 頁

……浅井は友人小野のために先生の娘・小夜子との婚約を解消するように申しでる。他方、甲野の家に宗近兄妹が乗り込む。宗近が藤尾の前に小野・小夜子組を引き合わせ実は五年前から小夜子と婚約していたと告げる。プライドが壊れた藤尾が卒倒する。

19 【甲野の家の通夜】445 頁

……藤尾、毒を仰いで自死。宗近兄妹を仲介して、甲野は母と和解するとともに糸子と結婚して家を継ぐことになった。題名の『虞美人草』は、藤尾を死に至らす原因をつくった小野が贖罪のため、亡骸に贈った、帝大主席卒業御賜の銀時計レリーフからきている。

                                   了 455 頁

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     夏目漱石 『虞美人草』 初出 朝日新聞 1907

     ノート20170319

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