読書/ロジーナ・ハリソン『おだまり、ローズ』 ノート20150920
第一次世界大戦を挟んだ英国貴族のカントリーハウスを舞台にした貴族と使用人たちの愛憎劇『ダウントンアービー』とテレビ・ドラマ・シリーズがNHKにあり、関連本がいくつかだされている。その一つが、アスター子爵家に仕えたロジーナ・ハリソンの『おだまり、ローズ』(新井潤美 白水社2014年)だ。
アスター子爵家の交流は広く、ジョージ六世国王、エリザベス二世女王といった王族、第二次世界大戦で連合国を勝利に導くウィストン・チャーチル、第一次世界大戦の英雄アラビアのロレンスことトーマス・エドワード・ロレンス、チャーチルの母親の愛人とされていた当時の首相ソールズベリー卿、文豪ジョージ・バーナード・ショーまでいて驚く。
著者は、ハウスキーパーという、数いる使用人の中でも執事級の重責を担っており、わがままで癖はあるのだけれども魅力的な、子爵夫人レディー・アスターが、第二次世界大戦後に長寿を全うして昇天するまで仕え、女主人の伝記といっていいほどに詳細に人物を追っている。
――興味深く当時の貴族社会の在り方を追うことができた。
ノート20150920




