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読書/森鴎外『高瀬舟』
森鴎外『高瀬舟』感想文
高瀬舟は明治の文豪森鴎外が1916年1月に書いた短編作品。
『舞姫』のモデル女性との醜聞で私の中では男度を下げていた鴎外ではあるが、当時の社会問題を、江戸時代の演劇に仮託して、近代文学に作り直すという手法は、芥川龍之介に先行するもので、やはりパイオニアとしては凄いものなのだろうと思う。――私も叩けば埃くらいは……もはや公害・大気汚染レベルだな。
それはともかく。先日、本棚の『高瀬舟』を久々に読み返した。
内容は、難病に苦しむ弟が死を望み、献身的に介護をしていた兄が自殺を幇助した。それでお縄となり、流刑地にやられる。高瀬舟は運河で罪人をある区間を運ぶ小舟。護送にあたった若い与力が話をきいて考えさせられたというものだった。
一時世論に上がった、死刑廃止問題。尊厳死・安楽死の問題が物語の根底にある。wikiを参照したところ、江戸時代に実際にあった話で、当時の随筆が元ネタだとあった。
ノート20170511