読書/ジョナサン・リットマン 『FBIが恐れた伝説のハッカー』 ノート20160927
『FBIが恐れた伝説のハッカー』感想文
1994年アメリカ、ノンフィクションだ。電脳世界を舞台に、探偵と泥棒が攻防を繰り広げる。サイバー・テロリストであるケヴィン・ミトニックのIQは平均的だ。ロシアがソヴィエトと呼ばれた冷戦時代に中・高校生だった彼は、自宅パソコンから国防省に侵入して、世間をあっといわせ、あわや核戦争となるのではということで、映画にまでなった。
大人になったミトニックは、自己の存在を確かめるため、ハッカーを続け、大企業のスーパーコンピューターに侵入を繰り返していた。しかし、沖電気の携帯電話用コンピューターに侵入したのは失敗だった。沖電気は、凄腕のサイバー探偵・下村努を雇って事にあたらせた。下村はFBIにもコネがあり、各種機関の協力のもと、サイバー・テロリストを追い詰めてゆく。
ミトニックは逃走し、やがてFBIに逮捕された。
事件報道は、ジョン・マーコフが記事にした。一躍ヒーローになった探偵・下村。著者は、逃走中のミトニックに接触を図った。その際、ミトニックは著者に、下村は、探偵であると同時に、自分を凌ぐハッカーだともらした。著者はミトニックの説を信じ著書に記した。根拠というのは、一度、下村はハッカーにわざと自分のパソコンに侵入させて、より高度なシールド・システムを構築した節があるからだ。――下村とマーコフが抗議文をだした。本書あとがきにそれが掲載してある。
上巻11-302頁、下巻8-295頁(1頁18×46=500字強)、400字原稿用紙換算800枚ほどか。全5章51節構成。序節・終節各1節、Ⅰ章8節、Ⅱ章18節、Ⅲ章13節、Ⅳ章7節、Ⅴ章Ⅲ節で構成される。Ⅰで事件発生・キャラ紹介、Ⅱで捜査開始、Ⅲで追い詰めⅣで逮捕、Ⅴで後日談となる。
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* ジョナサン・リットマン 『FBIが恐れた伝説のハッカー』 上下2巻、東江一紀 訳 草思社1996年
ノート20160927