第4話:異世界の人
今回は蓮崩の幼馴染、聖の立場の話です。
教室が明るくなった。
「あ、明るくなった。蓮崩ダイジョブ?」
あたしは蓮崩を真っ先に気にした。何でだろう?
「・・・蓮崩?」
あたしはビックリした!蓮崩がいなかった!
「ねぇ!だれか蓮崩を見た人いない?」
あたしは教室の中にいる人全員に聞こえるように大声で言った。
「レンホウ?だれだ、それ?そんな奴クラスにいないぜ?」
「え!?だって、さっきまでクラスにいたじゃない?」
「ていうか、そんな名前の奴なんかこの学校にいないぜ?」
教室の男子が言う。
(どういうこと?みんなが蓮崩の事を忘れてる・・・)
あたしが考えている時に学校の放送が鳴った。
【原因不明の停電が起きました。電気系統整備のため今日の学校は終了します】
「「やったぜ!!」」
生徒は皆喜んだ。
だけど、私だけは喜べなかった。
(蓮崩どうなったの?)
あたしは不安でいっぱいだった。
とりあえずあたしは、学校が終わったので病院に行くことにした。
あたしは生まれつき左足の骨が弱い。そのために家では松葉杖を使っている。けれど、運動神経だけは、男子より高い。
「うん。いい感じね。あまり無理はしてないみたい」
病院の先生は安心そうに言う。
「ありがとうございます・・・」
「どうしたの元気ないけど?」
「いえ幼馴染が急にいなくなっちゃって・・・」
あたしは泣きそうな顔をしていたらしい。
「それは、気の毒に・・・。でも、そんなときだから明るくなりましょう!」
先生は励ましてくれた。
「ありがとうございます」
あたしは、お礼を言って病院を出た。お金はお母さんが先に払ってくれている。
(明るくしろって言ってもな〜・・・)
あたしが悩みながら帰っていると、目の前に紳士風の老人がいた。
「お嬢さんは〈レンホウ〉という名前を知っているかな?」
「蓮崩!?知ってるわ!」
あたしはビックリした。
誰も覚えていないはずの蓮崩のことを覚えている人がいたから。
「そうですか。ならば・・・」
老人は近づいてきて、持っている杖をあたしのお腹に突きつけた。
「むん!!!」
老人がそういった瞬間あたしは吹き飛んだ!
「なっ!」
あたしは吹き飛ばされながら、右足を地面に付けブレーキをかけた。
「ほう、なかなか強い娘さんだ」
老人はいつのまにかあたしの背後にいた。
「いずれまた会うでしょうそれまで。私は〈異世界の人間〉さ」
(異世界!?そんな世界ホントにあるの?)
あたしは困惑した。
「言い忘れていましたが、私の名前はキョウリム。キョウリム・ネルスです。では、また会いましょう。お嬢さん」
キョウリムという老人は空間を裂いて消えた・・・
(蓮崩。何処にいるか判らないけど、無事でいて!!)
あたしは蓮崩の無事を祈りながら家に帰った。