第25話:再会
「ん……」
狭間の世界から戻り俺は目を覚ました。正確には生き返った。
「生き返れたな……。!!!イデデデ!!!!」
動こうとしたら体が動かない。そして強烈な痛みが体中に走った。死後硬直だ。
「こんなに痛てぇもんなのか……」
バキバキと骨がなる音が体に響く。正直かなり痛い。
「さて、と。ゼシルドを探すか」
体がほぐれたところでゼシルドを探すことにした。周りを見渡すが彼は見つからない。目を瞑り気配を辿ると、だいぶ離れた場所にいることがわかる。
「大通りか。……よし!」
足元に置いてあった曲刀を手に取り俺は大通りに走った。
大通りではゼシルドが死体を漁っていた。
「なるほど……これはこうなっていたのか」
「あんた医者だろ?なんで体の構造がわからないんだ?」
原型がある死体を解剖している彼に問いかけた。傷や喉は生き返る際に治っていた。
「なぜ君が!?わたしが葬ったはずなのに」
「お生憎。死んでないんだなー実は。あれはダミーさ。あんたに死んだと思わせておくためのな」
俺はダミーと言っているがあれは間違いなく【俺 本人】だ。集中力を消すことができれば魔導も弱くなるだろうと思ってのこと。
「そうですか……。ならばまた、今度こそ殺します!
『我に託されしは
「ふっ!!!」
詠唱を言い終える前に俺は片手を前に強く押しだし衝撃を放った。手から放たれたそれは彼の一歩前の道を削った。
「なるほどね。取り込めば【無】に関係するものを無条件に出せるのか……」
トリスと本性を取り込んだことで体が軽くなり、力すべてが強くなった。
「バカな!!!【取り込み】は正式な儀式がある。それを無視して取り込みを行って成功の確率は……3%なのだぞ」
ゼシルドは驚きの表情のまま動かない。それを好機に身体強化を施し彼の背後に回る。
「じゃあな。ゼシルド・クロス。プエルを診てくれて……ありがとな」
最後に感謝をして、俺は彼の命を奪った……。
「自我があっての殺しは初めてだな」
そう。俺は実際、意識がない時に人を殺していた。だから自分で殺すのは初だ。だが、後悔も絶望もない。これが【生きる】ということだから。
「死体を片づけないとな。よっと」
クロームハウスの屋根に乗り俺は詠唱を始めた。
「『我が命に従いて現れたるは闇を司りし者。命なき者を深き地へと墜とせ』」
詠唱が終わり影という影から無数の悪魔(体長30cm全身黒で槍を所持)が表れ死体を吸い取り一人吸い取ったら地面に消えた。そして染み着いた血までもを吸い取り悪魔は消え、町は急にガランとなった。
「とりあえず家に帰るか……」
そう言い俺は家へ帰った。
玄関先で異変に気づいた。家の中が光っている。変だと思い急いで家に入る。そして目に入ったのは……青い短髪、血のような瞳、プエル。
そして緑の髪に瞳。だが頭に耳が付き、目は狼のようだ。さらに尻尾まで生えている。一瞬目を疑ったがガイルだった。
「ただいまっ♪レンホウ」
「うむ。帰ってきたぞ」
明るく返事をするプエルと爺さん口調で話すガイル。
「よ。おかえり。こっちは大変だったけど……」
「ごめん。町はまた新しく作り替えよっ。今は……」
「「ただいま」」
なぜ知っているのだろう?町の人間が死んだ(殺された)ことに。まぁ、今はとりあえず……。
おかえり。