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第21話:独りで

 目を覚まし周りを見るとプエルはもういなかった。

「くそ……あのバカ!!」

 言いようのない怒りの中俺は部屋を後にする。


 図書室に戻りあたりを見回すがガイルがいない。不思議に思い大声で呼びかける。

「ガイル!帰るぞ。ガイルー!!」

 叫んでも返事は返ってこない。ふと一つのテーブルを見ると手紙が置いてあった。

「なんだこれ?手紙か?」

 その手紙はガイルからのものだった。俺はまさかと思いながら手紙を読んだ。

『レンホウへ

 お主がこれを読んでいるということは魔界には行けなかったのじゃろう?プエルは最初から1人で全てを終わらせるようだったからの。わしはプエルと同じように魔界へ行く。魔界は魔族ではないと行けないがこの前知ったことでわしも魔族じゃ。正確には【獣人族】という部類に入るらしい。だから背が伸びず…… まあそんなことはどうでもいい。というわけでわしとプエルは魔界に行く。心配するな。死ぬことはない。ではまた会えることを祈ろう。

最後にごめんなさい……。』

 軽い達筆だったが読むことが出来た。

「なにがごめんだよ……。なにが獣人族だよ。何が祈ろうだよ!!!」

 静かに怒りがあふれてくる。ガイルやプエルにではなく魔界に行けない自分自身に。

「ふぅ〜…… 仕方ない。とりあえずこの城から出るか。もうここに来ることもないだろう」

 俺はもと来た道を1人で戻った。もう戻らない仲間のことを思いながら……


 町に戻った俺はとりあえずクロームハウスに行った。

「仕事を受けたいんだけど……。No.8403 Aクラス 蓮崩だ」

 受付の男に仕事を要請した。

「竜討伐がありますが……どうしますか?」

「受ける」

「承りました。この依頼はハウスからの依頼です。すぐにトルナ草原に行って結構です」

 受付の男が言った【ハウスからの依頼】とは一般人からの依頼ではなくクローム内の依頼。つまり、クロームが依頼人というわけだ。


 トルナ草原についたがかんじんの竜が見つからない。あたりを見回しても気配を探しても竜の気配は見つからない。誰か別のクローマーに倒されたか?

「グルルルル……」

 そんなことを思っていたら竜のうめき声が上から聞こえた。俺はすぐバックステップを踏み竜との間合いを開ける。

 竜の大きさは推定50mこの大きさなら上位の竜だ。もちろん最上位竜はクリムゾンだが。

 すかさず俺は剣を魔導刀(長刀)に変化させ竜に切りかかる。

「能力変換〈破壊〉トリス。《帯びろ》」

 破壊の力を刀に帯びさせる。がその間に竜が火球を吐き出してきた。俺は反応が遅れ火球は左腕に直撃した。いつもは楽に避けられるのだが二人がいなくなったショックから戦闘にも支障が出てきているのだ。

「くそ……!この野郎!!」

 足を切りつけ魔導を発動させ右前足を破壊する。破壊された部分からは血がふきだしている。

「!!!」

 俺は頭の中になにか違和感を感じ攻撃を止める。聞こえてくるのはトリスとは違う声。

(本性をさらけ出せばいいのに…… こんな竜簡単に殺せるでしょう?)

 頭を横に振り竜を前に見据える。だが声は止むことはない。

(ほら……醜い本性をさらけだしな?楽になるよ)

「うぜぇ!!」

 竜の攻撃を避けながら会話を続ける。

(そうか仕方ないねぇ… 手伝ってあげるよ!!!)

 その瞬間俺の意識が消えた……

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