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第19話:運命

 歌が聞こえる・・・


 月の光がわたしを照らす・・・


 闇夜の風がわたしを切る・・・


 それはひどく悲しい運命の唄・・・


 人の命はとてももろい。あなたの命もまたしかり・・・


 あなたに会いたい。あいたい。アイタイ・・・




「ーーーーう。レンホウ!」

プエルの声に驚く。

「!なんだ?」

「なんだではあるまい。ぼーっとして!」

ガイルに怒られ、走り出す。

「今、【歌】聞こえなかったか?」

確かに聞こえた歌・・・。だが不思議に思い二人に聞く。

「歌?そんなものは聞こえておらんぞ?」

「私も聞こえなかったなー。魔族は人間より感覚が鋭いけど・・・」

嘘だ・・・。あんなにはっきり子供のようなあどけない声が聞こえたのに。

歌が頭の中に残っている。ひどく悲しい運命の唄。

なにかを振り切るように頭を横に振り走る。


だいぶ走ってようやく着いた場所は・・・惨劇だった。Aランクの人間が焼け焦げ、切り刻まれ、魂無き肉塊に姿を変えている。土の色は黄土から赤へ・・・。

竜・・・クリムゾンの大きさは人間と同程度。だが、牙・爪そして体は赤。命を喰らった者の証が偽りなく体にまとわりついている。

「これがクリムゾン・・・」

「先に言っておくがこいつに勝つことはまず不可能と思え」

俺が竜を見ながら呟くと、ガイルが言う。

「なんでだ?」

「この竜は過去、伝説とまで謳われたクローマー3人が挑んでも付けることが出来た傷はかすり傷だけ・・・」

なら何故こんな依頼をクローマーに?

考えているとガイルが口を開く。

「こいつは・・・竜人じゃからな。殺しても魔界に戻るだけ。だが、伝説のクローマーでさえ傷はつけられない。つまり、倒せないということ。こいつは天災の一つと云われているほどじゃ」

早い話がおっぱらえと言うことか。

考えながら深くため息をつく。

「いくよ!二人とも!!」

プエルはそう言うと後ろへ下がり援護に回る。俺が曲刀・ガイルは大剣をだし、クリムゾンに向かって走り出す。まだ生きている他のクローマーは援護に加わる者もいれば逃げ出す者もいた。

曲刀を振り降ろし切りかかると何やら声が聞こえる。

(命ってなに?大切?)

その声はあの歌の声と同じ声。違和感を感じながらも曲刀を翼に振り降ろす。

ガキンッ!!

なにかの金属を切ったような感触。翼に振り降ろした曲刀は宙を舞い山の岩肌に刺さる。クリムゾンを見たらゴミかなにかを払うように翼を羽ばたかせている。

「バカが。奴の鱗は並ではないほどの硬度をもっている!うかつに切れば弾かれるぞ!」

弾かれた後に言われても困るものがある。

「なら・・・トリス!!」

衝撃を放つがびくともしない。不思議に思ったが俺以外誰も動いていない・・・

「なんで動かない!ガイル!プエル!」

「レンホウはこの声聞こえないの?動くどころじゃないよ・・・」

泣きそうな声でプエルは話す。だが、その声すら聞き取りづらい。

「声?」

動きを止め耳をすます・・・。微かに聞こえてくるのは話し声。

(待ってよ!母様)

(レンホウ。早く来なさい)

(母様!僕の腕が・・・)

(大丈夫ですよレンホウ・・・。ほらこれで)

なんだこれ?【レンホウ】?【母様】?これって俺の記憶?いや違う!親が居るときはまだ俺は【烈火】だ。

考えていると頭がおかしくなってきそうだ・・・。

「今はこいつの討伐に集中しろよ!二人!」

大声で叫ぶと二人は思い出したようにクリムゾンを見る。

「そうだったね!

能力変換〈水〉ブルー・レスト」

プエルが中空に水の玉をだしそれを弾丸のような速さで撃ち出す。そしてそれに合わせるように

「死閃煉獄衝!」

ガイルがかまいたちを放つ。俺は岩に刺さった刀を取りに行ってる真っ最中。

クリムゾンは黒い火球を吐き出し風をかき消し水を一瞬で気化させた。

「これが獄炎・・・」

プエルは驚いたように呟くと右に跳んだ。左に跳んだら山を落ちることになっていた。

ガイルも右に跳び獄炎とやらを避けていた。俺はようやく曲刀を抜くことが出来た。意外に深く刺さってたな・・・。

竜は降りてくる俺に合わせてくるように獄炎を撃ってきた。

「「レンホウ!!」」

二人の声が聞こえる。こんな所では死にたくない。

「トリス!!!」

下に最大限の衝撃を放ち体を浮かせ獄炎を避ける。当たらなかったそれは青空に消えていった。

「ブルー・レスト!」

「・・・能力変換〈雷〉ダスクドル!」

プエルはクリムゾンの足元の土を水で沼に変えた。そしてガイルはクリムゾンに雷を当てた。さすがGEIST!

ん?なんで知ってるのかって?後で説明する。今は大変だから。

クリムゾンもこの攻撃には驚いた様子だ。だが、何故か奴は直接的な攻撃はしてこない。

(そこの女・・・)

低い声が辺りに聞こえる。その声の主は紅い竜からだ。

「あたし?」

(おまえ以外に誰がおる?他の人間共は逃げ出したぞ)

「嘘!?」

周りを見渡すがもう誰もいない。いるのは4人。ん?4人?3人と1匹?いや、だけど竜人だから4人か?

「なに百面相しておる?」

「ホントだ。どしたのレンホウ?」

「いや、なんでもない。そっちの話を続けて」

なんとかごまかせた。人数数えで悩んでたらバカといわれる。

(おまえからは魔界の匂いがする・・・)

「あたしは吸血鬼だから」

平前と答えているがこの世界で吸血鬼は災いの元らしい。

(父親は?)

「デュノン・デル・シェルよ」

プエルのフルネームは【プエル・ド・シェル】だ。

(そうか・・・。デュノンの娘か。母親は?)

「さぁ?知らないわ」

そういや討伐しないのか?

少し考えた結果・・・。まぁ、いいや。という結論が出た。

(知りたいのならば・・・

【夢眠る棚・真実の扉】を開けよ)

「なんだそれ?」

話を割って聞く。

(自分で調べよ。余は魔界に帰るとしよう。鱗をやろう。余にあれほどの傷を負わせた記念にな。余はもうこちらには来るつもりはない。ではな・・・楽しかったぞ)

そう言うとクリムゾンは鱗を一枚落とし、空へと消えた。

プエルを見ると悩んだ顔で考えている。

「どうした?プエル」

「いや、なんでもないよ。さ、ハウスに行って討伐完了の報告をしてこよう♪」

プエルがいつもより明るいのは不自然だ。

思えばこのときが俺たちの運命を変えた時だったのかもしれない・・・










あなたに会いたい。あいたい。アイタイ。










ひどく悲しい運命の・・・

唄・・・

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