第16話:激怒
昨日は諸事情があり更新できませんでした。
文章を少し変えて書きましたので混乱するかもしれませんが多分大丈夫だとおもいます。
扉を開ければさっきとなんら変わりない通路がある。
そこを歩いているとなにやら笑い声が聞こえた。
クスクス・・・ ケタケタ・・・
怒りの感情が沸き上がってくる。この笑い声のせいだろうか?
大分歩くと直角の曲がり角があった。奥には気配が一つ・・・。
相手も俺のことを察知したのだろう。気配が消えた。
俺は戦闘体制に入り合剣を曲刀に変化させ足音を消し曲がり角に近づき身を隠す。
曲がり角から体をだし切りかかろうとした。そのとき!
勝負は一瞬だった。ガイルの拳が見事に腹にクリーンヒット。うずくまる俺を見てガイルは一言
「なんじゃ。お主か」
殺してぇ・・・
ガイルは敵かと思い殴ってしまったらしい。まぁ許してやろう。俺も襲ってしまったから。
「そっちはどうじゃった?」
「どうって何が?」
「戦ったのか?という意味じゃ!」
面倒くさいがガイルに戦った相手のことを話す。
「厄介じゃったの。ここを出て2・3日したら体術の修行をしてやる」
断固拒否したいが俺に選択権はないだろう。
そんな話をしながら奥に進んでいくと、壁全体が扉の前に来ていた。
「これ開くのか?」
「やってみなければわからんじゃろ。手を貸せ!二人で開けるぞ」
ガイルと協力して扉を押すがびくともしない。
(ぶっ壊してやろうか?)
トリスの声が頭に直接流れ込んでくる。
「いらねぇよ。俺たちだけで充分だ」
実際二人だけでは足りないがトリスの力は借りたくない。俺の癇にさわる。
「あいつか?」
俺が頷くとガイルは
「精霊なのに話せるとはな」
話すことは慣れたが話すとムカつくから話したくない。俺がそう言うとガイルは
「ハハハ。大変じゃのう。それにしてもこの扉はなんじゃ?全然動かん!」
ガイルが愚痴っぽく話すとさっきまで聞こえていた笑い声が変化した。
(ねぇ、困ってるよ?クスクス・・・)
(助けてあげようよ。ケタケタ・・・)
寒気がした。蛇が首に巻き付き舌なめずりをしているような嫌悪感のような寒気が。
笑い声がおさまると横に並べられていた鎧が二つ動いた。
俺とガイルはすぐに戦闘体制に入った。
だが鎧は
(僕たちは手伝ってあげるだけ。危害を加えるつもりはないよ)
と子供のような声を出し、扉の前に立った。そして二つの鎧は扉を押し、開けた。
完全にそれを開けたら鎧は二つとも倒れた。
扉の奥には豪華絢爛と言うのだろうか?部屋の至るところに装飾品や肖像画などが飾られている。そして扉を開け真っ直ぐ奥まで歩く通路には血を吸わせたような色の赤絨毯。奥には段差があり上りきったところには玉座が一つ。そしてそこに座っているのは、黒いローブを羽織り、黒い長髪。口には牙。そしてプエルと同じ血のような赤い瞳。そしてとめどない殺気を放つ男がいた。
「よくここまでこれましたなお客人」
「あんたがデュノンか?」
男に問うとそうです。と頷く。
「お客人どうでしたかな?楽しんでいただけましたかな?」
もちろん楽しめるはずはない。だがそんなことをこの男に言っても意味はないと知っている。
(能力変換〈身体強化〉トリス・・・)
言霊を呟き俺は一気にデュノンとの間合いを詰めるが、見えない壁に当たり近づけない。
「レンホウ!・・・なんじゃ?この見えない壁は」
「壁ではありません。〔斥力〕です。物体を遠ざける力ですよ」
デュノンは余裕の顔で俺たちを見る。いや、見下している。
「魔導だな・・・」
「さすがお客人鋭いですな。どうです?殴り合いなどせず食事でも?食後のワインは格別なものをご用意しますが?」
デュノンは自分の力を教えてまで余裕の姿勢を崩さない。いや、その力すらどうでもよいものなのかもしれない。
「食後のワインとは?デュノン公爵」
ガイルが問いかける。そして返ってきた言葉は
「もちろん《処女の生き血》ですよ」
プツンッ
俺の中で何かが切れた。そして溢れた感情は殺意!
(殺す・・・)
「何か言ったか?レンホウ?」
ガイルが何かを言っている。
もう蓮崩の耳には入っていない。
殺す。殺す!殺す!!
デュノンとの間合いを詰めるが、また斥力に邪魔をされ前に進めない。
「消えろ・・・
変換〈消失〉トリス」
斥力の壁を消し去り間合いを詰める。
「レンホウやめろ!その男はプエルの父親じゃぞ!!」
ガイルが何か言っている。もう俺には聞こえない。
「危険なお客人だ。消えていただく!
『影より生まれし闇の長全てを滅せ!!』」
「特殊魔導じゃ!下がれ!レンホウ」
デュノンの影から出てきた黒い剣は俺を刺そうと向かってくる。
「『我が命に従いて現れたるは輝きを失った聖者。冥府を彷徨い得た力、今悪鬼となりてもたらさん』」
詠唱が終わり影から堕天使のような姿の何かが出てきた。
「なんじゃ?この魔導・・・。レンホウのものではない。トリスか?」
「心配するな。俺だ。蓮崩だ」
ようやくガイルの声が聞こえる。怒りが収まってきたらしい。
堕天使はデュノンがだした黒剣を止め、その剣を自分の武器にかえデュノンを刺した。
「なかなかですね。お客人・・・」
「知らねぇよ。それはキレてるときに出したんだからな」
(なるほど・・・。つまりあれは偶然の産物。運も実力のうちと言うが・・・。
あの魔導はわしが知る限り【魔】の属性最強魔導じゃ。しかもそれを扱えるのは魔族のみ・・・)
ガイルは皆に聞こえないように呟いた。
デュノンを刺している黒剣が消え、間をおかずに堕天使も消えた。
デュノンは片膝をつき肩で息をしている。それほどの威力だったのだろう・・・
「はぁ、はぁ・・・。このガキがぁ・・・!!!ゆるさねぇ・・・」
デュノンの性格が一変した。
ガイルは何かに気づいたように
「レンホウ!こっちへ来い!!殺されるぞ」
デュノンから殺気があふれガイルの声が聞こえた。俺は危険と判断し、段差を飛び越えガイルの隣に着地した。
デュノンを見上げるともはや人間(吸血鬼)の姿とは思えない。
体が4倍に膨れ上がり破裂。そして霧散した体は玉座の前に集まりなにやら形作っている。
黒い球体。そこから生えた6本の足。そして顔には血のような赤い眼が三つ。もはや蜘蛛と言ったほうがいいだろう・・・
「ガイル・・・」
「なんじゃ?」
「俺、蜘蛛かなりダメなんですけど・・・」
「しかしこのままでは殺されるぞ?腹を括れ」
そんな会話をしたあと、俺たちは剣を出した。
ガイルは大剣・俺は長刀(魔導を帯びることが可能にしたもの)に変化させ構える。
チキ・・・チキ・・・チキ・・・チキ・・・
蜘蛛は何かを言っている。そして、行動に移った。
作者は蜘蛛は嫌いです。それはもう嫌です!!
見つけたら後ずさりするほど嫌です。
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