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第11話:クラス昇格(中編)

扉の奥に行くと、短い通路があった。

俺は歩きながら周りを警戒して進む。すると、受付の男が通路の脇に立っていた。

「先に所有武器を出しておくことです。この奥では魔導は使えませんので」

俺は男の指示に従った。

「能力変換〈召喚〉トリス・・・」

すると男は

「では、これを片腕にはめてください」

と言い、俺に腕輪を差し出した。

「腕輪?・・・わかった」

「腕輪をはめましたら奥に行き、指示に従ってください

では、健闘をお祈りしています」

男はその後は何も言わずにそこに立っていた。


通路の奥は何も無い正方形の部屋があった。するとどこかから

「さあ、テストを始めます。このテストは戦闘能力を見るテストです。

あいてはあなたを殺す気で襲ってくるでしょう。

それを交わしつつ相手に決定打、または死に至らしめるほどのダメージを与えて下さい。

では始めます・・・」

放送が終わり奥の壁が開いた。出てきたのは、人間とは思えないほど巨大(推定5m)の男が槍を持ってやってきた。

「グゥゥ!!!ゴろシデやる」

(こいつは人間じゃないのか?なら話は早い殺す!!!)

俺は剣を十字に構え、曲刀に変化させた。

化け物は俺と直線状に並びそのまま槍を持って走ってきた。

俺はそれを軽く避け横腹に水平に切りかかった。

だが、化け物の体に当たる前に剣が止まった。

(切れない?いや、俺は本気で切りかかった!なのになぜ剣が途中で止まる!?)

俺が考えてる時に化け物は遠慮なしに俺を蹴り飛ばした。

「ゲホッ!!痛ってぇ・・・」

俺は壁に叩きつけられ口から鮮血を吐き出す。化け物は攻撃を繋げるように槍で俺をついてくる。

俺は体を捻って槍を避け、着地する。が、完全には避けきれず横腹から血が流れる。

(血なんて流したの2年ぶりくらいだな)

俺はそう考えながら、化け物の懐に飛び込み腹に切りかかる。

だがまたしても剣は途中で止まる。

「何で切れねぇんだよ!?」

俺が叫んでいると小さな声で

(助けてくれ・・・俺を殺してくれ・・・

もういやだこんな体は!!誰か、俺を殺してくれ!!)

そう聞こえた。

(まさか、こいつ人間!!?嘘だろ!?

いや、だけど人間なら殺せない理由がわかる)

俺が考えている時に化け物は

「ジねェ!!!おマえオ殺ズ!!」

(さっきの声と一緒だ!間違いないな

俺がこいつを切れないのは本能的なものだ)

似たような例がある。

作られた物(生き物)は作り主を殺すことが出来ない。体は本気で殺そうとしていても本能的に察知し行動にブレーキをかけてしまうらしい。

(だが俺は作られてもいないし普通の人間だ)

(まだわかんねぇのか?宿主さんよ?お前は人間を切ることに迷いがあんだよ!!迷ってたらこいつに殺されちまうぜ?)

「トリス・・・。久しぶりだな。あの夢以来か?」

周りには独り言のように思うだろうが、俺は精霊〈トリス〉が憑いている。

プエルに聞いた話だと精霊は話すことは出来ないらしい。だが俺の精霊は話す。しかも傲慢な態度で!!

俺は化け物の攻撃を避けながらトリスと会話をする。

(なぁ・・・?俺に代われよ?こんなザコ5秒でミンチにしてやるぜ?)

「こいつは人間だぞ!?そんなこと・・・」

(〈元〉人間だろぉ?とっとと殺して人間に生まれ変わらせたほうがいいと思うぜぇ?)

「そういう問題・・・。!!!ゴホッ!!」

会話に集中していたために化け物の攻撃に気が回らなかった。俺は槍の横薙ぎをくらいまた壁に叩きつけられた。

(おいおい・・・。死んじまうぜぇ?ほら、俺に代われよ!!)

「お前に代わったら俺が後悔するからな・・・」

(チッ!!あぁそうかよ!!!じゃあ勝手に死ね!!!!)

そう言ってトリスは意識を俺の奥底に消した。

(けど、どうする?俺はあいつを切れないし、魔導も使えない)

俺が対抗策を考えている途中にまた

(誰か・・・助けてくれ・・・

俺を殺してくれ!!)

(くそっ!!殺すわけにもいかねぇし・・・

ん?たしか1・2週間前に)




「なぁ、剣も魔導も通用しない敵がいたらどうするんだ?」

俺はガイルとプエルに聞いた。

「そういう時はほれ、プエルが〈身体強化〉をかけて二人でタコ殴りじゃ!!!」

「そ♪あたしの力を強くしたら、配分を考えてガイルに送るのよ。それで相手をボコボコね♪」

「なんとも、原始的な方法だな・・・」




(そうか!!素手だ!・・・って気づくの遅すぎだろ!!俺)

俺は曲刀を戻し、合剣を壁に刺して化け物を向いた。

「これなら、ダイジョブだ!!」

俺は拳を握り真っ向から化け物の槍に対峙した。

「何ヲやッデいル!!」

化け物は槍を構え突進してくるが、俺は体制を低くし槍を避け地面と水平に足払いをして化け物を転倒させた。

そしてすかさず背中に乗り、全体重をかけて首に攻撃を当て気絶させた。

化け物を気絶させたらどこにあるのかわからないスピーカーから声が聞こえた。

「おめでとうございます。あなたはこれではれてEクラスです。もっと精進して上を目指してください」

声が消えると、化け物が出てきた反対側の壁が開き、結構渋いオッサンが出てきた。

「おめでとう!!ようやくEクラスになれたね〜。」

「あんた、誰?」

俺は声に出すつもりは無かったのだが、出てしまった。

「おぉ、すまない。私はクロームハウスの全権を仕切るギルドステム・ファルクだ。以後お見知りおきを」

「はぁ・・・。蓮崩です」

「うんうん。聞いているよレン・ホウ君だね?」

「いえ、蓮崩です。蓮と崩の間に点は、いりません」

「そうかそうか、悪かったねレン・ホウ君」

(このオヤジ!!!)

そして、俺はいろいろと会話をしてクロームハウスの受付場に戻った。

「うわ!!!血だらけ・・・大丈夫?」

プエルが心配そうに俺に駆け寄ってきた。

「大丈夫かな?一応は」

「そんなことはどうでもよい。プエル!癒しを」

「そうだね!変換〈癒し〉ブルー・レスト」

プエルは言霊を発し俺の傷を癒し、血を増やした。

「〈癒し〉は血も増やせるのか?」

「うん♪といっても元々の血の量よりは増やせないけど・・・」

プエルは申し訳なさそうに俺を見て言う。

「いや助かる。実際貧血でフラフラだったからさ・・・」

俺たちが他愛も無い話をしていると

「レン・ホウ様続いてDクラスに上がるためのテストを受けますか?受けるのならばすぐにご用意しますが?」

「どうするかな?」

(たしか次は瞬発力だよな・・・。大丈夫か?)

「受けます」

俺は軽い気持ちで返事をした。

「ダイジョブなの?」

「まぁ、大丈夫だろ?」

俺がプエルと話していると

「承りました。では少々お待ちください。準備が出来ましたら・・・」

「もうよい。そのセリフは聞き飽きた!!」

なぜかガイルがキレた。

(聞き飽きたって・・・。まだ二回しか言ってないだろ)

「・・・わかりました。では準備をしますので少々お待ちください」

そう言って男はまた扉の奥へ行った。

そして、俺は仮眠を取りながら待つことにした。

(プエルに起こされる前に起きよう)

そう思いながら・・・

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