動揺
¨ニューハーフ¨という言葉が出てから、女性の心拍数が安定しなくなった。
仕方なく、女性が落ち着くのを待つ事にした。
──5分後
「…ダメ。まだ動揺してるみたい」
「……この方法は使えなくなったね。」
「八方塞がりかな…」
「うーん…」
女性は見かけ上、先程と変わった様子はなかった。
だが、その心の乱れ具合は、今の状態でポリグラフに繋いだら器械が壊れる程に反応が期待出来そうだった。
…気にしていたんだな
服装によって胸の大きさが変わる、目の前の友人を温かい視線で見た。
──真実は本人しか分からない。
…僕でさえBカップはあるのに。
「…ねえ!聞いてる??」
「聞いてるよ。…今日はA型装備だね」
「…は?」
「えっ?あ…ああ、何だっけ?」
「何か、¨他に方法はないのかな¨って聞いているの。」
「…ええと、この女性と一緒に階段を転がっていくと、一時的に入れ替われる儀式とか」
「…他には?」
「バ○リンガル…」
「……。」
「もしもし?」
「…さっき¨ポ¨ナントカ言ってなかったっけ?」
「え、僕?……ぽ?」
「ぽ。何か、灯油を入れておくような感じの…」
「ああ、ポリグラフ?」
「そうそう、ソレ。」
「それが、どうかしたの?」
「この女性は、自分が触られてる事も分かっているみたいだから…ポリグラフとか有効かな、とか思ったわけ。」
「近所では売ってるかな?」
「似たような¨オモチャ¨ならあるんじゃない?」
「あ、オモチャと言えば面白いのがあって…」
脳波で遊ぶオモチャの話題で暫く盛り上がっている2人には、そばの女性の口が、僅かに広がっていた事に気付いていなかった。
「…今から買ってきてくれる?」
「割り勘でしょ?」
「勿論。後で払う」
「分かった。」
友人を部屋に残して、夜道を自転車で急いだ。
「はあ、はあ…うう」
往路で、体力を使い果たしてしまった。
目的の物は何とか手に入れたが、自転車のカゴが小さくソレを入れられなかった。
結局、荷物を持ったまま、片手運転で復路を進まざるを得なくなった。
「はぁはぁはぁはぁ…」
気力を振り絞り、ペダルに乗せた足に体重をかけた時、自転車の後輪のロックを外し忘れていた為にバランスを崩し、体重3桁の体が荷物の上に落下した。
「ああああ…」




