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女性  作者: VISIA
13/13

──だが、時にはその優柔不断さが、自らの命を救う事もある。


 それは本能がさせる、死への抵抗なのではないだろうか…

「さあ、返事を聞かせてくれないかな?」


 先程より、死神の声のトーンが低くなった。少し苛ついているようにも思えた。


「キミの友人が死ぬ事になるのだよ。何をそんなにノンビリ考えているのかな?」

「え…えと…」


 体重3桁は、ようやく煩悩の数を2桁まで減らした所だった。


 友人を助けたい気持ちはあっても、やはり命を失うのは恐いと思い始めた。

 体重3桁は、再び煩悩の数を増やし逃げようとした。


……やっぱり…でも…


──体重3桁が、暫く息をするのを忘れて苦しくなった事に気付き、慌てて肺に酸素を取り込む。


…う…でも…


──漫画やアニメのような事を出来るわけがない


 体重3桁の思考の方向が、少しずつズレていった。


……復活できないし。


 いつしか、死神の声も届かなくなる。


「おい、聞いているのかい?」

「……。」



「ちっ、精神的に引きこもったか…まあ、後で魂を回収しに来れば問題ないしな。」


 そう言って、死神が音も無く姿を消すと、友人の声の大きさが元に戻った。


──体重3桁の目前に、友人の顔があった。


「ねえ、聞いてる?…ヒヒ…私の事、嫌いになったのかな?…ヒヒヒヒ」「…わっ……えと…え?…あれ?…死神は…」



「ああ、そうか…ヒヒ。私、死神になったんだ。ヒヒヒヒヒヒ。」

「い、いや、そうじゃなくて…」



「だから、私ちょっと変だったんだね。…ヒヒヒヒ」

「……。」



 友人は、ポケットに手を入れて何かを探し始めた。



「じゃあ、私は死神の仕事をしないとね。…ヒヒヒ」

「……?」



──友人はライターを取り出した。


「これで、アナタを成仏させてあげる。ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」



「うわあああああっ」





 友人がライターに火をつけた時、ガスコンロから漏れていたガスに引火し爆発、老朽化していたアパートの部屋が一瞬にして吹き飛んだ。


──その後、火災が発生しアパートが全焼してしまった。

──ニュースです。


 先程お伝えした、アパートの火災事故の新しい情報が入ってきました。


 火は2時間後に消し止められ、焼け跡から2人の男性の遺体が重なるように発見されました。


 その内の1人は、この部屋の住人と見られ身元の確認を急いでいます。


──次のニュースです。


 今、お伝えした火災現場の近くの交差点で、火災が起きる少し前、道路に突然とび出してきた痩せた若い女性が車にはねられ、病院で死亡が確認されました…

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