魔女のいたずらに負けなかった少年の心構えとは?
少年は釣りの最中だ。池の底の方に不思議な世界が沈んでいる。釣り糸をたれると、その不思議な世界に引きずりこまれそうになる。毎日の食事を釣る少年。毎日通っている池。釣れないときは、何時間も座り続ける。
釣られる側の会話「おい、釣られてやれよ」「いやだ。お前がいけよ」「なんだ、いいじゃないか、お前こそどうだ」
池の底、青や緑、赤、群青色など、様々な色が見える。実にきれいな、底の方へ引き込まれてしまいそうになる池である。生き物が泳いでいるのが見えるが、なかなか魚は釣り針に食いついてくれない。
少年は病弱な母のために、せいのつくものを、と思い魚を釣りに来た。
物陰で、魔女がいたずらをする。
「へっへっへ、毎日あそこに座っているね。ちょっといたずらしてやろう」
①釣り針の先に重りを付けて、少年は釣り竿ごと池の中へ落ちる。
②雨を降らせて、少年の忍耐力を試す。
③ガラクタばかり釣り上げさせる。靴、缶詰の缶、ボロの服。
④ごちそうの匂いをさせて、少年の集中力を切らせる。
「おや、なんか、いい匂いがしてきたぞ。あっちのほうからだ。誰かいるのかな」
①②③の魔女のいたずらに少年は耐えましたが、④の誘惑には負けそうになりました。少年は、この場を離れて様子を見に行くべきか迷います。しかし、もし離れているすきに獲物が食いついたら、それこそせっかくのご馳走を取り逃がしてしまいます。お腹が空くのはこの上なくつらい事でしたが、少年はなんとか釣りを続けました。
たった一人で池に向かって魚を待ち続けることの困難さ。家に帰れば病気の母はいるけれど、釣りをしている今は、己と魚の真剣勝負だ。誰も助けてなどくれない。
なんとか今日のごはんを釣った少年は、頭を切り替えて、明日こそ大物を釣ってやるぞ、と帰って行きました。
「チッ。もう少しだったのにね。なかなかしっかりした子供じゃないか」と、魔女は悔しがりました。
「おい、この少年になら釣られてやっても良いんじゃないか。なかなか良い奴だ」不思議な池に住む魚たちはそんなふうに囁き合いました。
魔女のいたずら、誘惑に負けなかった少年は、いつも通り、お母さんと平和な日常を過ごせました。目の前のことに全力を尽くし、横着せずに、自分が今すべきことは何かということをしっかりと認識できていた少年は、魔女の意地悪な誘惑に負けませんでした。
おわり




