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女神皇主の受難〜十年探した初恋の王子に死ぬほど溺愛されています〜  作者: 如月ニヒト


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再生の朝

「ん……」

「おはようレティシア」


 目覚めてそうそう固まった。

 私の寝室の、私のベッドで……レギアスの腕の中。

 お互い夜着は身につけている。でも……昨夜のことは、夢じゃない。


「おはようございます。レギアス様」

「なに? まだ丁寧語?」

「だ、だって……」

「そうか、照れてるのか」


 わああああ! レギアスが覆いかぶさって目元にキスしてきた。


「起きますよ。離れて」


 レギアスの肩を必死に押して起き上がった。危ない。

 キョトンとしているレギアスに釘を刺す。


「いいですか、昨夜のは気の迷いです。今後はもうありません」

「はははっ。一度許しておいて俺が我慢できるとでも?」


 あああ……そうなるとは思っていたけれど、本人が完全に開き直っている。

 今夜からどうしたら。

 とにかく、朝だろうと寝室に二人きりは危険だ。


「ほら、行きますよ」


 レギアスの手を遠慮がちに握って引いた。

 くしゃくしゃな笑顔が朝日にきらめいて、眩しい。


「陛下、おはようございます」

「おはよう」


 リビングに出ると並んで挨拶する侍女たち。視線が……私の手?

 結んだ手を慌てて離した。次の瞬間レギアスに後ろから抱き寄せられて。


「きゃあぁ!」


 さきほどから過剰反応してしまう。いったいなんなの。

 あれ? ハンナたち眉尻を下げて、安堵したような優しい表情になっている。


「陛下、お加減はいかがでございますか?」

「え?」


 どういうこと?

 あ、そ、そうか。初めてだったから、心配してくれているんだ。確かに色々と驚いたけれど……

 酷くしてって言ったのに、レギアスは優しくて。

 思い出してしまった。顔が熱い。


「平気よ。着替えの前に食事にしてくれる?」

「かしこまりました」


 窓際の丸テーブルに座ると朝食が並べられていく。

 皇主一家専用のダイニングがあるけれど、大テーブルにレギアスと二人きりは寂しすぎる。

 

「本日の朝食はシャロ芋のオムレツに人参とサザナミ草のグラッセ。ランプ鹿のサンドイッチ。そら豆のポタージュ。温野菜と生ハムのサラダ。ミーリャ地方産蜜桃の入ったヨーグルトでございます」

 

 私の好物ばかりだ。サンドイッチを口に運ぶとちゃんといつものように美味しくて。

 向かいに座るレギアスの笑顔をちらと見上げ、逃げるように窓の外に目をやる。色づく山並みを眺めて、やっと息ができるようになった気がした。

 体は活気づくのに、心は凪いでいる。

 

 柱時計が八時の鐘を鳴らした。

 いつもなら両親との食事を始める時間。

 

 目線を下げると大道(たいどう)公園から続く正門前広場が目に入るが、やけに人が多い。

 そうか、崩御の正式発表は九時からだけれど、もう噂は広まっているわよね。みんな心配そうにこちらを見上げている。


「ハンナ。レギアス殿下のことを、強国ソーマの最強の竜騎士王子がわたくしの夫になってくれると、みなに報せるよう伝えておいて」

「かしこまりました」


 ハンナが広報官の元へ急ぐと、少ししてサラが入ってきた。

 

「おはよう。レティが眠れたってハンナが喜んでいたよ」

「おはようサラ。朝からどうしたの?」

「昨夜から隣の部屋に越してきたから挨拶にね、それと」

 

 聖印の術者には近くにいてほしくて頼んでいたのだった。調子がいいと思ったらサラのおかげでもあるのね。


「急だけど、着替えたら神殿に来てほしくてね」

「大神殿に?」

「午後から御前会議だろう? 調べが済んだから帰祈(きき)の義に入るけど、会議はいつ終わるか分からないから先に始めておきたくてね」

御霊鎮(みたましずめ)の術を施すのよね」

「ああ頼む。レギアス殿下、初日は皇族のみの儀式なんだ。護衛として同席は可能だが……」

「婚約者でもダメなの?」

「レティシア、俺は扉のそばで見てるよ」

「レギアス……ありがとう」

 

 レギアスは私の髪に右手を伸ばし穏やかに笑う。その手をそっと握り優しく追い返した。でもテーブルの上で指が絡んだまま離してもらえない。……もう、まだ食べてるのに。

 冷たい視線が走った気がしてサラに振り返る。

 

「レティ、国葬だが明後日からと決まった」

「そう。わたくしの役目は?」

「初日に最初の手向けを、最終日には民に言葉をかけてくれるかい?」

「わかったわ」


 皇主としての初公務。しっかりしたところを見せなければ。

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