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【完結済】真説・おとぎ前線 【壱】〜祐徳門前商店街編〜【小説版】  作者: 久遠 魂録


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Sカンパニーと天乃 志織

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

美琴(みこと)神那(かんな)稲穂(いなほ)亜都(あと)の四人は、突然の告白と、その後のオーナー((ゆう))の奔放な振る舞いに、ただ(あき)|れ()ことしかできなかった。

一方、志織(しおり)理名(りな)は、この状況に慣れているのか、比較的冷静に見つめている。


碧海 雫(あおみしずく)は、(あき)れ返っている四人を見て、コホンと軽く咳払いを一つしてから皆に語りかけた。

美琴(みこと)さん、神那(かんな)稲穂(いなほ)ちゃんに亜都(あと)ちゃん……、この方が言ってるのは(ほん)(とう)なんです……」

そして、小声で付け加えた。「()(ぶん)……」

志織(しおり)は、深々と頭を下げて謝罪した。

「皆さん、ごめんなさい。偶に変なテンションになってしまうのよ。()()()(しゃ)(ちょう)……。はじめまして、私は理名(りな)の姉の**天乃 志織(あまの しおり)**と言います。理名(りな)と仲良くしてくれてるそうで、本当にありがとう」


稲穂(いなほ)は、志織(しおり)の顔を見て嬉しそうに言った。

理名(りな)ちゃんのお姉ちゃんなんだ!似てるけど雰囲気は違うね。私の稲穂(いなほ)だよ!」


稲穂(いなほ)ちゃんは理名(りな)からよく話を聞いているわ。いい子だって……。じゃあ、あなたが亜都(あと)ちゃんね?」

志織(しおり)は優しく尋ねた。


亜都(あと)は丁寧に応じる。

「はい。私の名前は亜都(あと)です。理名(りな)お姉ちゃんとは仲良くさせていただいています」


志織(しおり)は微笑んだ。

亜都(あと)ちゃんは礼儀正しいのね。理名(りな)の話していた通りだわ……」


理名(りな)が、明るい声で経緯を説明する。

「お姉ちゃんは、このお店を運営している**『Sカンパニー』**の社員なんだよ。で、その繋がりから、私がお手伝いのバイトに来てるって訳。で、今日は社長がお客様が多くなるはずだから、私に急遽、厨房のバイトに入って欲しいって、お姉ちゃんにお願いされたの。だから、今日はお客さんじゃなくて、厨房のバ・イ・ト」


「残念……」稲穂(いなほ)は肩を落とした。

今度(こんど)()()(とき)()()()()(おし)()()()()()って言ってたから……」

理名(りな)は、それを思い出して申し訳なさそうに謝った。


「そうだった。ゴメンね、稲穂(いなほ)ちゃん、亜都(あと)ちゃんも、ゴメンね」

亜都(あと)は事情を知りながらも、稲穂(いなほ)を宥めた。


稲穂(いなほ)ちゃん、今日はお客さんが多いから……仕方がないよ。理名(りな)お姉ちゃんが言う通り、今度、遊びに来た時に()()()(おし)()()もらおうよ」

(しずく)は、稲穂(いなほ)亜都(あと)理名(りな)の和やかな様子を見届けたあと、わざと、もう1度軽くコホンと咳払いをして、仕切り直した。


「紹介が本当に後に遅れてごめんね。この方が、一応、間違いなく、ここのオーナーの**緒妻 憂(おつま ゆう)(しゃ)(ちょう)に間違いないです。先程のことは大変失礼しました。(しゃ)(ちょう)()()()()**、皆に謝ります。」


**(ゆう)は偉そうに顎を上げ、「代わりにって……(てん)(ちょう)**として様になってきたね!」と言った。


(しずく)は怪訝な顔で聞き返す。

「な、なんですか……**『その様』**っていうのは……。で、いつもは、いらっしゃらないのに何かあったんですか?」


「いや……今日は**『狐の嫁入(きつねのよめい)り』**の日なんでしょう。お客さんも凄く多いだろうなと思って、(すけ)|っ()を連れてきたのよ!」(ゆう)は陽気に手を振った。


理名(りな)は、冗談めかした軍人口調で答えた。

天乃 理名(あまの りな)、本日は**『狐の嫁入(きつねのよめい)り』という()()()()()()()があり、調理の人手が足りないからと、緒妻社⻑(おつましゃちょう)**の命によりお手伝いに参上いたしました!」


志織(しおり)は苦笑いしながら言った。「私も……(はい)(ぜん)お手伝い(おてつだ)()位はできるかと思ったのですが……。バイトの子達の方が優秀そうですね……」とハハッと笑った。


(ゆう)は、それを聞いて**志織(しおり)に視線を向け、結論を突きつけた。


「という事で、志織(しおり)ちゃんは、そこの稲穂(いなほ)ちゃんと亜都(あと)ちゃんと一緒に『狐の嫁入(きつねのよめい)り』を見てきなさい。比較的、お客さんが少ない時ならお手伝い程度なら許せるけど……こんな楽しそうなお祭り日和なのに、(しょう)(がく)(せい)(くらい)の少女たちに仕事をさせるつもり?それこそ、()()()()()(ぎょう)と呼ばれるわ」と、ハハハと笑った。


志織(しおり)**ちゃん、今日は()()(しゃ)(やく)ね。あと、私は何人か門前商店(もんぜんしょうてん)(がい)の人や近所(きんじょ)に友人が住んでるから顔でも見てくる。それじゃあ、宜しく!」


「ちょ、ちょっと……(しゃ)(ちょう)!」

志織(しおり)は慌てふためいたが、**(ゆう)**は構わずに踵を返し、厨房にも入らずに、いつの間にか店から一人で出ていってしまった。


志織(しおり)は、緊張した声で稲穂(いなほ)亜都(あと)に声をかけた。「い、稲穂(いなほ)ちゃんも亜都(あと)ちゃんも、ま、そういう事だから、今日は理名(りな)お姉ちゃんではなくて、(わたし)と遊ぼうか?」


稲穂(いなほ)は、小声で亜都(あと)の耳元に囁いた。

亜都(あと)ちゃん、どうする?どちらにしても、ここのいるお客さんはほとんど、**『()()()()()()(サマ)』**の眷属(けんぞく)だから問題はないけど……」

亜都(あと)も同様に小声で返した。


「とりあえず、美琴(みこと)さんに聞いてみようか?」

事の次第があまりにも急展開しすぎて、美琴(みこと)は茫然と無言になっていた。


美琴(みこと)さん?」

稲穂(いなほ)に急に声を掛けられ、美琴(みこと)は驚いた声を出した。


「はいいいっ!あの……今日は……」


(しずく)は、美琴(みこと)を安心させるように言った。「美琴(みこと)さん、今日は理名(りな)ちゃんも来てくれたし、お客さんも凄く多いから、**『志織(しおり)』ちゃん**に見てもらって良いと思うよ。()()(せき)(にん)(かん)()()()()()()()()だから」


「はあ……分かりました」

美琴(みこと)はため息をつき、皆を見渡した。


祈里(いのり)さんも、神那(かんな)さんも、沙希(さき)さんもいいよね。店長のおっしゃる通り、**志織(しおり)**さんに稲穂(いなほ)ちゃんと亜都(あと)ちゃんを任せましょう」

神那(かんな)は、皮肉を込めた感じでゆっくりと返事をした。


(りょう)(かい)()!」


祈里(いのり)は笑顔で二人を見送る。

「二人も楽しんできてね!このお店の接客は沙希(さき)ちゃんと私の二人に任せなさい!」


沙希(さき)は、オドオドしながらも二人を気遣った。

「二人とも**志織(しおり)**さんを困らせちゃだめだよ」

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。読書のお一人でも、心に響いて頂けましたら幸いです。

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