表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真説・おとぎ前線 【小説版】  作者: かたしよ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/32

古き友人の帰還と、神社の境界線

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

佐賀県鹿島市(さがけんかしまし)前線(ぜんせん)カフェ前。時刻は午後四時前頃。

カフェの扉が開き、巫女服姿の葵を先頭に、**IS:T(イズティー)三柱(みはしら)**が店から出てきた。もちろん、(あおい)以外の人間には、三人の姿は見えていないし、会話も聞こえていない。

「ありがとうございました。またのご来店を心よりお待ちしております」祈里(いのり)がいつものように元気よく、見えない客に向かって声をかける。

「お待ちしております」沙希(さき)もまた、礼儀正しく頭を下げた。

「((けい)に向かって)面白いお姉ちゃん、またね♪」稲穂は無邪気に手を振る。

その稲穂に向け、(けい)が朗らかな声で応えた。「ここのカレーなら毎日食べにくるよ! あの、()()()()()()()()も美味しかった!」

そのとき、店の前を通りかかった**(かめ)さんが、一人で出てきたように見える巫女服の葵の姿を発見した。彼にはIS:T(イズティー)**の三人の姿は見えていないし、会話も聞こえていない。

(あおい)さん……」

極度の緊張状態にある葵は、(かめ)さんの呼ぶ声にも気づかない。

「(心配そうな声で)顔色が凄く悪そうですが大丈夫っすか? 俺が一緒についてきましょうか?」

(かめ)さんの声に、ようやく葵がハッと気づいた。

その横で、**(はく)**が静かに呟く。「淡いピンク色……。あの人間の()()()()()……」

「流石!(はく)さん、**()()()()()()という異名は()()**じゃないね!(馬鹿にしたようにハハハ……と笑う)」(けい)はそれを聞いて、茶化すように笑った。

葵の耳には、そんな(けい)(はく)の会話などはまるで入っていなかった。彼女は冷や汗をかきながら、(かめ)さんに答える。

「か、(かめ)さん、一人で大丈夫ですので。少し一人で静かに神社まで行かせてくださいませ……」

「(申し訳ないという表情と声色で)あ、(あおい)さん、すいません」(かめ)さんは、彼女を気遣うことしかできず、申し訳なさそうに頭を下げた。

普通の人間には見えない**IS:T(イズティー)神気(しんき)**の圧力にフラフラしながらも、葵は三柱を先導し、商店街の道を歩き始めた。

「(ささやく声で)岩崎大神(いわさきたいしん)様、先程のご、ご無礼をお許しください」葵は、誰にも聞こえないように、**(べに)**に詫びた。

「(特に気にする様子もなく)うん? 何が?」(べに)はあっけらかんとしている。

葵はホッと小さなため息をついた。「い、いえ、特にお気に触られていらっしゃらなければ」

「私たち三人の姿は人間には見えてないからね。声も聞こえてない。(あおい)さんだっけ?」

「ただ……葵とだけお呼びください。私は**御神様(おんかみさま)**にお仕えする身」

(べに)はそれを聞いて、至って普通の様子で話した。「私もそうだよ。一応、神様だけど、この**()()()()では末席(まっせき)末席(まっせき)**だから……。それに"大神(たいしん)"って言われてるのも、恥ずかしいよ。普通に"(べに)"。(しばらく間を空けて)私たちが見えたり聞こえたりするけど、人間だから呼び捨ては困るだろうから、普通に"(べに)"さんで良いよ」

「(かしこまりながら)い、いや……それも……(しばらく間をあける)で、では"(べに)"様で宜しいでしょうか?」葵は恐縮した様子で確認した。

「私に"()"つけか……。仕方ないけど良いよ。あの『おとぎ前線』達のウカノミタマ様の子達も"様"つけするからね……。(はーっとため息)そ、それにしても……(あおい)ちゃん!」

「(ひーっと引き攣る声を出し)!(あおい)ちゃん!……ただ、葵とだけ」葵は、呼び捨てに抵抗を示した。

「これは私の命令ってことで。あなたは**(あおい)**ちゃん。とこれからは呼ばせてもらう」(べに)は有無を言わさぬ口調でそう決定した。

「わ、わかりました。"(べに)"様の仰せのままに。で、"(べに)"様、私へ何かを聞かれていたのでは……」

「そうそう。いや~ね。寂しくなったね……**商店街(しょうてんがい)**ってさ! 私が修行の旅に出たころは、この常に人でごった返していた。でも今は何? 閑散としたこの光景は……」

「も、申し訳ございません……」葵は、まるで自分が責められているかのように謝罪した。

「((あおい)の態度に少々困った様子で)ごめんね。怒ってるわけではないから、安心して。いや、想像以上に寂しくなったな……って」(べに)(あおい)の過剰な反応に苦笑いを浮かべた。

やがて、一行は神社の前の大きな鳥居に到着した。

「ここが紅の**摂社(せっしゃ)がある稲荷神社……とても大きい。そして奇麗……」(はく)は神社の神気(しんき)**を感じるように呟いた。

「商店街の様子とまるっきり違う世界へ突然変わったな……。人、人、人……人、凄いな……。OHHHH、異国の人間も沢山きてるぞ!」(けい)はその人の多さに驚きの声を上げる。

閑散とした商店街と打って変わり、参拝客で賑わう神社。その人の流れが急に変わる**()()()()()()()()を、(べに)**はしばらく見つめる。

「(独り言で)あの**()()が『おとぎ前線』の境界線を()()()()()()**こじ開けてる理由が分かった気がする……」

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 ★★★ブクマ・ポイント評価お願い致します!★★★


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ