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真説・おとぎ前線 【小説版】  作者: かたしよ


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金塊と女神の誘い

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

場所: アースガルズ・フリッグの海の宮殿「フェンサリル」前。

時間: トールとの遭遇直後。

**ボオオオオオオ……**という、猛吹雪の轟音の中、眼前にそびえ立つ巨大な宮殿の扉が、地響きを立ててゆっくりと開いた。

雷神トールは、その扉の前で、悔しげに頭をかいた。

「(悔しい声で独り言)結局、紅ってやつの気合に負けて連れてきてしまった。俺様、不覚……」

トールの独り言を無視するように、軽甲冑をまとった一人の女性が、吹雪を割って近づいてきた。ヴァルキリー――戦場で戦士の運命を定める女騎士の一員だ。

「(怒気を込めた声で)これは、これは**"トール"様**、ご無沙汰しております。ここは男・子・禁・制のフェ・ン・サ・リ・ル。偉大なる女神**"フリッグ"様の"海の宮殿"**です。何か御用でしょうか?」

ヴァルキリーはトールに対して一切の容赦がない。トールはタジタジとなった。

「お、おう。久しぶりだな。えーっと、えーっと、まあ、その、"フリッグ"に会いたいって。ほら、そこにいるだろ? 異国の神の三人が……」

ヴァルキリーは紅たち三柱に視線を向けた。その表情は、トールに向けたものとは違い、無表情ながらも一定の礼儀を保っていた。

「ようこそおいでくださいました。海の宮殿**"フェ・ン・サ・リ・ル"**へ。異国の神様達でいらっしゃいますね? フリッグ様にお会いしたいとか? フリッグ様とお約束されていらっしゃいますか?」

ヴァルキリーの問いに、慶は冷や汗をかいた。

「(焦った声色で)紅、いきなり来て**"会いたい"**はさすがにないよ。このアースガルズ最強の女神でこの宮殿の主さまだから。別の日にしようか?」

慶はフーッとため息をついたが、紅は冷静だった。

紅は懐から、まばゆい輝きを放つ金塊を一本取り出し、ヴァルキリーへ手渡した。

「私の名前は紅と申します。ジャ・パ・ンの**"ウカノミタマ"様の小さな摂社**の一つを任されていた力なき者……。こちらは手土産としてフリッグ様にお渡しください。お会いいただける暁には、同じものを十本程……」

「べ、紅、それは**賄賂わいろ**というもの……女神さまには価値ないもの……」

白は抑揚のない声ながらも、倫理的な反発を示した。

「YABAI-YO、YO、YO」慶は焦った声で言葉を繋げた。「紅、それ神様として絶対やっちゃいけないやつ……」

しかし、ヴァルキリーの態度は、白や慶の心配をよそに一変した。

「わ、わ、分かりました! 紅様ですね。フリッグ様に直ぐにお渡し行きますので……しばらく……」

ヴァルキリーが金塊を持ったまま、宮殿の奥へと急ぐ。トールは目を丸くして紅を見た。

「来ーた! あんた、紅の姉ちゃん、お前、頭いい~な!」

フリッグは最高位の女神であると同時に、黄金に対する執着が尋常ではないことを紅は見抜いていたのだ。

その瞬間、宮殿の奥から大きく響く、神々しい女性の声が聞こえてきた。

フリッグの声:「紅様、はるかジャ・パ・ンの女神よ! 遠方より、この極寒の地によくいらっしいましたわ。どうぞ、おはいりください。そこのお二人もご一緒にどうぞ。わたくしは謁見の間にてお待ちしておりますわ」

女神直々の言葉に、ヴァルキリーは慌てて戻ってきた。

「(かしこまりながら)フリッグ様より直々にお言葉を頂戴いたしました。紅様、そして、異国の女神様方々、私が謁見の間へご案内します。私の後ろをついてきてください。(しばらく間を空ける)では、"トール"様はお引き取りを!」

「男には厳し~い」慶が面白そうに囁いた。

「ここは偉大なる女神**"フリッグ"様の海の宮殿"フェ・ン・サ・リ・ル"**。男、入れない」白がルールを正確に解説した。

トールは肩を落とし、ハンマーを肩に担いだ。

「はいはい! 分かりましたよ! ヴァルキリーも、三人の異国の姉ちゃん達も、じゃあな! 今度、あった時は必ず手合わせしようぜ! 特にそこの紅ちゃんよ~お!」

トールは、扉に入る直前の紅に、強い警告を発した。

「お前、神気抑えてるつもりだろうが……そんな、挑発的な力をダダ流ししてたら、ここじゃあ、俺様のようなやつが直ぐに飛んでくるぞ!」

紅は微笑んだまま、トールに一礼した。

ゴーーンという巨大な扉が閉まる音が響く。フリッグの海の宮殿**「フェンサリル」**の扉は、音を立てて閉ざされた。

トールは、**ボオオオオオオ……**という猛吹雪の中、一人宮殿の前に残された。

「やれやれだぜ!」

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。

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