表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】真説・おとぎ前線 【壱】〜祐徳門前商店街編〜【小説版】  作者: 久遠 魂録


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/117

歌の神、サンバを学ぶ

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

場所: オドゥドゥア(ブラジルのリオデジャネイロ州某所にあるカンドンブレの祭壇場)。

時間: 「IS:T」がワープミスで到着した直後。

カンドンブレの祭壇前。

水の女神ナナン、そして日本の神々である紅、慶、天使の白の四柱が向かい合って立っていた。熱帯の濃密な空気が、彼らの周囲を静かに満たしている。

ナナンは、深い知恵を宿した眼差しで紅を見据えた。

「JOY TRIP……"喜びの旅"、"歓喜の旅"か……。目的はそれだけではないじゃろう?」

ナナンは、紅が自身を「小さな摂社の神」と偽ったことを見抜いていた。その問いに、慶は慌てて応じる。

「オフコース! い、いや、これには深い理由がありまして……」

「サンバを聞きに来ました。そして、学ぶために」

紅は慶を制し、真っ直ぐにナナンを見つめて言った。その声には、一切の虚飾のない熱意が込められていた。

「私は歌うのが好きなんです。どんな歌でも私は良いものは全て吸収したい。みんなを喜ばせる**"歌・の・神"**様になりたい」

ナナンは静かに聞き入った。

「**"歌・の・神"か……。ジャパンにも"歌・の・神"**がいるじゃろうに。サンバをとな?」

ナナンは一拍置くと、満面の笑みを浮かべた。

「おおおっ、適任がおるよ。ちょっと待っておれ」

ナナンは口を開き、祭壇に向かって呼びかけた。

「オーラ・イエイエオー。オーラ・イエイエオー。オシュンいるかの?」

ナナンが出現した場所と同じように、空間が再び歪む。ビィィィーンという音と共に、一人のセクシーで華やかな女性が現れた。全身から眩いほどの美と魅力を放っている。

「お婆ちゃん、わたくしを呼びました?」

女性はナナンに問いかけながらも、一瞬、白の姿を横目で捉えた。

「呼んだよ。サンバを聞かせて欲しいとな。そこにいるのは紅さんというのだが、その彼女にあんたのサンバを聞かせてあげて欲しい」

「そ、それは良いですが……。第二階位の天使様が何故、こちらの世界に……」

オシュンは白を見て、敬意を込めた困惑の表情を浮かべた。

「白、このセクシーなお姉さんとお知り合いなのか?」

慶は既に腹を抱えて笑っている。「ハハハハハ……! ビュティフォー!」

「彼女もナナン様と同じく元は人間だったもの。私の世界では**"聖女カタリナ"**と呼ばれている……。彼女も天界にいるといつも思ってた」

白は抑揚のない声で説明した。

「**"ケルビム"**様、わたくしもこちらの世界ではお婆ちゃん……いや"ナナン"様と同様、"オシュン"と呼ばれています。わたくしもこちらの世界の方が居心地が良いもので……」

オシュンはふふっと魅惑的に笑った。

「"オシュン"、歌ってあげてくれ」ナナンは無邪気に促した。「そして、自慢の踊りを見せるのじゃ」

「分かりましたわ」

オシュンは優雅に祭壇から離れ、少し広い場所へと歩いていった。そして、目を閉じる。

「オーラ・イエイエオー。オーラ・イエイエオー」

静かなサンバのリズムが、どこからともなく響き始めた。オシュンは身体を揺らし、その美しいハモリと共に歌い出す。ふわりと舞う鮮やかな衣装。女性の美と喜びを司る彼女の歌と踊りは、熱狂的でありながら、同時に神聖なものだった。

やがて静かにサンバのリズムがフェイドアウトし、オシュンが目を開けた。

「はい。これで終わり」

パチパチパチ……

IS:Tの三柱から、惜しみない声援と拍手が起こる。

「ありがとうございました」紅は深く頭を下げた。

「"聖女カタリナ"、凄い……」白は、珍しく「凄い」という言葉を口にした。

「いや~ウチもセクシーやけど、また違ったセクシーさ♪ 素敵や、ビュティフォー!」慶は興奮気味に言った。

「紅さん、少しは勉強になったか?」ナナンは紅に尋ねた。「ありがとう、"オシュン"」

「少しでもお役に立てば幸いですわ」オシュンが微笑んだ。

「"ナナン"様、"オシュン"さまにも感謝します」

紅は再び、深く頭を下げる。そのお辞儀は、ジャ・パ・ンの神様らしい礼儀正しさだった。

ナナンは、紅の姿を一瞬、値踏みするように見つめた。

「紅さん、"オシュン"の歌声を聴いた後、そなたの**"神気"がまた急激に上ごうた? みんなを喜ばせる"歌・の・神"様になるって話はあながち嘘ではないという事か……。他の世界の"歌・の・神・々"**にも会いにいくのじゃろう?」

ナナンは全てを見通していた。

「YO! 紅、ここでの用は済んだか?」

慶が次の旅を急かす。

「済んだよ。再び、次の"JOY TRIP"へ♪」

紅が笑顔で答えると、三柱は互いに頷き合った。

ギュィーン

再び空間が歪み、三柱の姿は光の中へと消えていった。

ナナンは、オシュンと顔を見合わせ、老婆とは思えぬ大きな声で笑った。

「"オシュン"、あの三人の**"喜・ビ・ノ・旅"が終わった時、あの小さな摂社の神様らしい紅さんは、"さん"**つけじゃすまんかもな……」

ははははははは……

聖なる祭壇場に、二柱の笑い声だけが残った。

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 ★★★ブクマ・ポイント評価お願い致します!★★★


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ