ATSU氏の大冒険
ATSU氏はなんと、運営が異世界に準備していたプライベートダンジョンの区画を
見事に突破し、念願の異世界に見事、潜入することに成功したのだった。
そのころ、地球の異世界カフェでは、ATSU氏そっくりの影武者が
<ダンジョン攻略おめでとう>
の式典が行われていた。
「ATSU氏、ATSU氏、ほらATSU氏、ほれATSU氏」と軽快なマイクパフォーマンスで
大会の司会を務める馬堀氏が会場を煽っていた。
「ATSU氏、おめでとうございます~。おみごと、おみごと、おみ~ごと。
ダンジョン攻略、優勝、おめでとうご~ざ~い~ま~す~~~。」
とさらに馬堀氏はテンションを高くして会場に歓喜と絶叫の渦を起こしていた。
会場は大盛り上がりであった。
「それでは、お待ちかね。ATSU氏から一言もらえますか。」
と馬堀氏はマイクをATSU氏に向けた。
「まあ、計画通りっていうか、良かったっていうか、まあ素直に嬉しいかな。」
と少しぎこちなくではあったが、何とか影武者の大役をこなしていた。
こちらのATSU氏は、魔法で作り上げられた人型ゴーレムで
すなわち偽物であったのだが、会場の誰一人としてそれに気づく者は居なかった。
ATSU氏ゴーレムの影武者は、異世界カフェでの式典終了まで何の問題も無く
誰にもバレずに上手くこなしたので、地球的には何の問題も生じずに、
これらの異世界カフェでのご褒美イベントも何事も無かったかのように
お開きとなったのであった。
一方、異世界に辿り着いた本物のATSU氏は彷徨っていた。
初めての異世界に興奮しまくっていた。
時々、異世界カフェの店内で垂れ流しになっていた異世界映像にそっくりであった。
ATSU氏はそのことも知っていた、いや信じていた。本当に異世界はそこにあるのだと。
もう一つ、大きな変化に気づいていた。
それは、自分のおでこ辺りに地球に居た頃には見えなかった何かが突然見えるように
なっていたからであった。
それは、下記のようなものであった。
・主要ステータス
津多 篤(ATSU氏) LV30 *地球の人間属
体力 ゲージ・・・2/30
魔法 ゲージ・・・0/0
気力 ゲージ・・・42/76
・アビリティ
ちから 30 すばやさ 30 みのまもり 36 知恵 72
剣 0 斧 0 槍 0 弓 0 銃 0
火属性 0 水属性 0 土属性 0 風属性 0 光属性 0 闇属性 0
やる気 76 根性 30 継続力 46 生きる力 76
・スキル <鑑定により閲覧可能>
・略歴生い立ち<管理者のみ閲覧可>
・病歴体の特徴 <管理者のみ閲覧可>
・思考履歴<管理者のみ閲覧可>
・持ち物 サンタの無限収納袋
内訳 スライム 82体
ファイアーアント 1250体
オオカマキリ 69体
ゴブリン 106体
オオトカゲ 45体
レッドスパイダー 61体
アンデッドモンスター 105体
オーク 74体
狼と熊の合わせたモンスター 48体
一角獣のウサギとカエルの合わせたモンスター 36体
何かの金属でできた大きなゴーレム 3体
ティラノサウルス・レックス 1体
トリケラトプス 1体
ブラキオサウルス 1体
ステゴサウルス 1体
スピノサウルス 1体
アロサウルス 1体
アンキロサウルス 1体
パラサウロロフス 1体
イグアノドン 1体
しかしながら、ATSU氏には鑑定の能力が無かったので、ほとんど見ることが
できなかったし、見えている部分だけでは、異常に多くのモンスターを持った、
能力は最弱の人間属ということだけは良く分かった。
ATSU氏はまだ異世界のこともよく分からなかったし、自分のスキルのことも
分からないことだらけであった。
「よーし、とりあえず、村か町を見つけないとな。」
と大きな独り言を言ってATSU氏は自分を励ました。
イベントで使用されていたダンジョンを抜け出したのは計画通りだったが、
そこから先は全くATSU氏の計画には無いことだらけだった。
辺りは言わば火星探索でもしているかの様に、赤い砂の大地が地平線まで
何も見えなかった。振り返ると、抜け出したダンジョンのあった赤い山脈が
聳え立っていた。
植物も動物も何も見られず、荒れ果てた大地だった。
何時間歩いたのだろう。
ようやく、森のような大きな木々が前方に見えてきた。
おそらく、あの森のようなところには多くの魔物や獰猛な動物などが生息して
いるのだろう。
「今日はここで休むか。」
ATSU氏は雨風が凌げる自然のテントのような岩の下で今日は休むことにした。
「これ、食えるかな。」
持ち物にあった、オオトカゲを今日は食することにした。
火は、持ち物のファイアーアントで簡単に熾すことができた。
周囲から枯れ木を集めて、簡単なキャンプファイアーも作ったので、
夜間の冷え込みにも耐える準備ができたようだった。
無事にオオトカゲの丸焼きもおいしくいただけたようで、
ATSU氏は異世界の初日をサバイバルすることができたのだった。
「やっぱ、異世界最高~。」
誰も居ない岩の下で、久しぶりの自由で満足の時間を、笑顔で締めくくることが
できたATSU氏は、ぐっすりと眠りについたのだった。
ATSU氏が勇者パーティに入るという願いは叶うのだろうか。
ATSU氏の大冒険が今始まったのだった。




