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異世界カフェ~裏メニューは勝者への道~現代ストレスからの逃亡者たちが勇者パーティとなって異世界を救う件  作者: 稲盛 皆藤
新しい冒険

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/20

異世界カフェでご褒美イベント開催

「いらっしゃいませ」「毎度ご来店ありがとうございます、

 本日はSEI&イベントで貸し切りだよー」

「招待状をお持ちですかー。」

「招待状が無いのに間違って来ちゃった人はパブリックビューイングで

 隣の部屋へご案内するのだー。」

「ララララー、ララララー♪」


 フルートの音色のようなソプラノよりもっと高温の音色の心に響く心地よい音楽のように

綺麗な歌声で、長身、美形、背中には無色透明な羽が今にも羽ばたきそうな、お伽の国から

抜け出てきたようなエルフの格好の女の子たちが入口でお客様のお出迎えをしている。


 今日は先日東京ゲームショウで開催されたオンラインゲーム、<勇者SEIと賢者とその仲間たち>

通称<SEI&>で10位以内に入賞した10名様が今日こちらの異世界カフェで行われる

ご褒美イベントに招待されていた。

 イベント会場の隣室にはゲーム関係者たちがスタンバイする部屋として準備していたのであったが、

イベントを聞きつけたゲームファンたちが間違って前日から異世界カフェの前に徹夜で並び始めて

しまったので、急遽パブリックビューイングとして1000インチ級のプロジェクターを備えた映画館の

ような部屋を管理者たちが異空間魔法を使ってこしらえたのだった。


 会場となっているこちら異世界カフェには普段の通常勤務のスタッフ以外にも、TOMOの会社の

従業員でコスプレ専門の広報や販促の部隊がたくさん来ていたし、もちろん役員連中も軒並み

参加していた。

 世界中からゲームショウのために呼び寄せたプロのコスプレイヤーたちもたくさんイベントを

盛り上げるために東京から大阪まで移動してもらって仕事を請け負ってもらっていた。

 プロのコスプレイヤーたちにはSEI&のゲームのNPCキャラに扮したエルフやドワーフ、

獣人属の可愛い女の子で参加してくれている方々や、ウケを狙ってかライバルゲームのD&Eの

キャラや他のゲームキャラなど何でもありの格好で参加してイベントを盛り上げてくれていた。

 異世界カフェのスタッフは、それぞれかわいいハート形の名札には「ERI」「MIYUU」「JEMINI」

「SAYU」「HIKAMI」といかにもアイドルのような源氏名を連想させる名前が書かれていたので、

名札を付けていないのがプロのコスプレイヤー達だった。

 他にも、耳がピンと立って元気いっぱい獣人族の女の子たちが店内を明るく盛り上げている。

「オトン、オカン♪、オトン、オカン、オトン♪」とコマーシャルソングのようなリズムを

口ずさむ陽気な「AZU」ちゃんもいた。

 プロのコスプレイヤー達も異世界カフェスタッフの完璧なコスプレに尊敬の念を抱いている

ようで、海外勢などは名札を付けているスタッフを見るとサインをこっそりオネダリしている者も

見られた。それもそのはず彼女らは何を隠そう本物の異世界人だったので完璧に本物だったから。


 大型モニターには普段の営業時にも垂れ流していたスクリーンセイバーのような画像が流れていて、

スライムたちが可愛いく跳ねまわったり、魔族や竜族が大きな炎を操った迫力のある戦いが

写し出されている。これらの多くは実際に魔道具を使用して異世界で撮影してきた物だったので、

この世の物とはとても思えない臨場感とリアル感に満ち溢れていた。


「パーン、パーン、パンパーッカ、パーン」とオンラインゲームSEI&でのボスキャラ攻略時に

流れるお馴染みのファンファーレが鳴り響いた。異世界カフェの店内に居たイベント参加者や

隣室に居た数百名のパブリックビューイングに集まった人達がその音を聞いて一瞬で静まり返った。


 アミューメント施設部門取締役の馬堀氏が本日も司会進行を努めてくれていた。

「本日は先日の東京ゲームショウイベントでの10人の猛者たちにお集まりいただきました。」

とマイクを握ったまま両手を広げてカウンターモニター前に特別に設けられた特等席の

10名を指示した。

「先日のオンラインゲームイベントでは、普段自分たちが育てているキャラを使用して、

 イベント用に開発されたステージでの獲得POINTで優劣を競い合うものでしたが、

 本日こちらではゲームキャラでは無く、自分自身がダンジョンを攻略できるという

 プレイヤーたちには涎が出る程に体験したいイベントとなっております。

 もちろんヴァーチャル仕立てではありますので、ダンジョン内でLPが0となりましても、

 こちらの異世界カフェに強制転送されるだけで、本当に命を落とすことはございませんので、

 どうぞご安心の上ご参加下さいませ。」

と馬堀氏は参加者とその見学者たちに大まかなルール説明を始めた。


 異世界カフェには通常の営業と同じようにエルフや猫耳のメイドさんたちが給仕をしてくれて

いたので一見賑やかで普段とそんなに違っている様子では無かった。

 本日は貸し切りだったので、食べ物飲み物は自由に好きなだけ注文することができた。


「皆様に本日潜って頂きますのは、株式会社SEI&がご準備しましたプライベートダンジョンの

 攻略となっております。まあ貸し切りのダンジョンと思って頂いて結構です。

 まず最初にサンタクロースからのプレゼントとしてお好きな武器や装備を一つだけ

 受け取ってもらってからゲームスタートとなります。

 どんなプレゼントをサンタさんからもらってから出発するかも攻略の成功を決めますので

 慎重に選んで下さい。」

と司会の馬堀氏は更に詳しくパブリックビューイングに集まった見学者の皆様にも

分かるように説明を続けた。

「それでは、前置きはこれぐらいにして、そろそろダンジョンに行って頂きましょうかー。

 なんと最初の挑戦者はゲーム大会優勝者のキム・アンドンさまー。

 海外からの挑戦者となっておりますー。」

と先頭の特等席に座っていた10人の中でその一人を指さした。


 会場はとてつもなくザワザワし始めた。

 何故なら普通なら大会入賞者のLP1のみの10位からカウントダウンしてLP2が与えられていた

準優勝者、最後にLP3が与えられていた優勝者を大取と考えるのが普通だからであった。


「はい、キム様前へどうぞ。何か出発前に一言頂けますか。」

と紹介されたキム氏を壇上に迎え入れた。

「はい、がぁんばぁります。」

と外国人が大人になってから日本語を習得したことが分かる特有の訛りではあったが、

それだけ言うと奥の控室に消えていった。


 控室では転移魔法の魔方陣が組んであったので、そのイベントで使用するダンジョンは

異世界の一角にTOMOたちの会社で結界を張っただけの本物の異世界へ飛ばすことのできる

装置だった。

「はい、ではここからは大型モニターに映し出された映像と音声で生の様子をご覧ください。」

と司会の馬堀氏が言うと、大型モニターにはサンタクロースがキム氏と会話している映像が

音声付きで流れていた。


「さあ、キムさん、あなたに一つだけ好きなアイテムを与えます。どうぞ選んで下さい。」

とサンタクロースはみんなにも聞き取れ様な流暢な日本語に何かが混じったような

二重音声で問いかけをしていた。


「わ~、すげー、異世界っぽい。」

などと様々なパブリックビューワーの見学者たちが好き勝手に歓声をあげながらその映像を

楽しんでいた。

 見学者たちにも、異世界カフェのスタッフのエルフや猫耳さんたちが商魂たくましく飲み物を

野球観戦のビールの売り子のように販売しているのが見えた。

こちらはもちろん有料での提供となっているらしく、お金の受け渡しがあるのが分かった。


「さあー、キム氏は何を選ぶのでしょうか!」

と真っ赤ベースの淵が白い三角帽にそれと同じ配色のモコモコした典型的なサンタの衣装を

まとったサンタクロースが肩に担いでいた赤い袋からいろんなアイテムを一瞬で取り出して

並べて見せた、明らかにレア物と分かる武具や防具を時間をしっかりかけて選んでいたのを、

馬堀氏はその時間の間を繋ぐかのようなアナウンスを入れて場を盛り上げていた。


「オット~、選んだのは剣だー。あれは超レアの魔法剣だと思われます。」

と馬堀氏はやや大きめの興奮した声で解説を入れたので、会場は大盛り上がりとなった。

 キム氏がサンタクロースが露店のように無造作に広げていたアイテムから剣を選ぶと、

「どうぞご武運を」

と言うとサンタクロースは一瞬で瞬間移動の如くに消えていった。


 キム氏はさすがにゲーム大会の優勝者である。

手にした剣を手慣れた様子でまるで使い慣れたナイフのように見事に扱ったので、目の前に

現れた雑魚敵をバッタバッタと切り倒してダンジョンを先へ先へと進んで行った。

 ここは単層のダンジョンの様で分かれ道はいろいろとあったが階段のような物は存在しなかった。

スライムやゴブリンといったいわゆる雑魚モンスターがいっぱい湧いて来た。

現在プレイヤーとして大型モニターの映像には、バッタ、バッタとサンタクロースにもらった剣を

上手く使ってモンスターをなき倒して行く勇姿が映っていた。


「すげーなー、キム氏、さすが異世界ゲーの神と噂されるだけのことはあるな。」

などと見学者たちはキム氏の快進撃を称賛して見ていた。

「フレイムソードー!」

とキム氏は叫んでその剣を振り回した。

 なぜなら、モンスターの中にやや大型のオオカミと熊を掛け合わせたようなモンスターが

多数映っていたので、剣の地道な攻撃では追い付かなかったと推測されるのだった。

その剣は剣先から鋭い火の魔法を放ってモンスターの群れを焼ききったのだった。

 その時点でキム氏はかなりぜぇぜぇ言っており、本人のリアルな体力が削られてきているのが、

ひしひしと伝わってきた。


次の瞬間に、それは現れた。

「あーっ」とも「おっー」とも聞き取れる、モニターからキム氏の叫び声が聞こえた。

よく見えなかったが、モニターはどういう技術で制御されているかは不明であったが、

リプレイ画面をスロー再生されて映されていた。


「どぉー、ごー」という見学者たちの声がパブリックビューイングの部屋から響いた。

スロー再生画面を見ていた全員はすぐに理解できた。

一角獣のウサギとカエルを足したようなモンスターが、風の魔法を放ってエアカッターの

ような物でキム氏の首をハネたのだった。

その瞬間にキム氏は映像から消えたのだった。


 そのリプレイ画面をみんなが見ている最中にキム氏はどこかへ瞬間移動させられたようで、

画面から消えたのだが、次に映し出された画面には、元気なキム氏が映し出されていた。

先ほど画面から消える前と映し出された後では、使用前、使用後の様態の如く、消えている間に

何か元気になる薬を与えられたのが容易に推測できる程、元気な姿が映されていた。

「パイティン」

とキム氏は大声で叫んで、一角獣のウサギとカエルの合わせたモンスターが放つエアカッターの

魔法を火魔法の剣で上手くかわしていた。

 さすがはプロのゲーム選手であった。初見で防ぎ切れなかったモンスターの攻撃も二度目は

全て対応ができていて、最後にはその剣が放つ火魔法でモンスターの大軍を焼き尽くしたのだった。

 次の場面では、さっきの一角獣はスピード重視の攻撃だったが、今度は真逆の敵に苦戦していた。

それは大きな何かの金属でできたゴーレムだった。火の魔法は効かず、剣の攻撃も効かず、

どんどん体力を削られて行くのが分かった。

「あー、わー」あーとわーが入り混じった叫び声をキム氏は吐いた。

その瞬間にまたキム氏は画面から消えてしまった。


大型モニターの映像にはリプレイ画面が映し出されていた。

ゴーレムが大きな腕を振るってキム氏を力でなき倒しているのが見て分かった。


「なるほどー、あのゴーレムぱねえー」

などの声がパブリックビューイングの会場から聞こえた。

またまた、キム氏が映し出されたが、どこか前のめりで元気が無かった。

画面には例のゴーレムと正対する自信無さげなキム氏が映し出されたのだが、

「シバルー!」と大声で呼びながら見切れてしまったのだった。

LPは3あったが、ここでゲームオーバーとなったようだった。


 しばらくすると、後頭部を掻き恥ずかしそうなジェスチャーをしながら、

出発した奥の部屋から元の異世界カフェの舞台に姿を現したのだった。

大型モニターにはその様子が映し出されていたのだが、パブリックビューイングに

集まった会場の全員が健闘を称えて大きな拍手を送ったのだった。

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