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⑯魔王討伐

 最後の村での一か月間の修行の結果、YUKIのステータスは大幅に向上した。

・主要ステータス

 小川幸江(YUKI)

LV156 *地球の人間属(転移後の初期値)

 体力 ゲージ・・・5200/5200(3200)

 魔法 ゲージ・・・4000/4000(100)

 気力 ゲージ・・・13400/13400(10000)

・アビリティ

 ちから 3500(3200 )すばやさ 20000(9600 )みのまもり 2800(600 )知恵 10000(3200)

 剣 100(100) 斧100(100) 槍 100(100) 弓100(100) 銃126000(100000)

 火属性 140(100) 水属性 3000(100) 土属性 140(100)

 風属性 150(100)光属性 280(100)闇属性 120(100)

 やる気 7200(3200 )根性 6800(4800) 継続力 6800(4800) 生きる力 4200(1600)

・スキル

 神様の加護(×100バージョン)

 言語自動変換

 速読(×100)

 記憶力(×100)

 銃技術(×100)

 鑑定(×100)

 物質化学式操作(×75)

 異空間収納(×60)

 召喚(×20)

 賢者(×15)

 現状での人間での最高位のステータスにまで仕上げることができた。

他のみんなも一か月間でかなり強くなって戻って来た様であった。

  YUKI     LV 156

  SEI      LV 148

  TOMO    LV 162

  IGLEE     LV 246

  GORRDON  LV 202

  WILL     LV 132


 勇者パーティは一か月間の修行の成果を引っ提げて、魔王城へ向かっていた。最後の村のみんなは大変親切で勇者パーティに好意を抱いていたが、自分たちの身を守る上で中立の立場を歪めることは決してしなかったので、出発時も村長一人だけがこっそりひっそりと見送ってくれた。

 魔王城に近づくに連れ、あの前にも経験した生命を寄せ付けないようなひんやりとした空気や、背筋が寒くなるような嫌悪感、それに合わせてどんよりと曇った空に辺りは変化し、その変化はどんどんと邪悪へと濃さを増していった。魔王城までの道中はどういう訳か一匹の魔物も現れなかったので、すんなりと魔王城に到着してしまった。

 魔王城の入口には、<魔王城はこちら>というような立て看板は無かったが、それが魔王城であることは誰の目にも一目瞭然だった。しかも勇者パーティが近づくと、待ってましたとばかりに入口の跳ね橋が勝手に降りて来てしかも入口の大門も大きな金属音を出して開城してしまった。

「おいおいおい、魔王様からのご招待って訳か。」とSEIは声に出して驚きを隠せなかった。

「そうみたい。ずいぶん舐められたもんね。」といつも強気なTOMOが反応した。

「慎重に行きましょう。」と年長のIGLEEはみんなを諫めた。


 城の中に入っても無機質な建物がお出迎えしてくれては居たが、執事がご案内してくれる様子も無かったので、勇者パーティはどんどんと奥へ進んだ。その突き当りにある大きな扉をSEIは馬鹿力で開けた時、

そこは異空間と繋がっているのであろう、とても外から見た広さでは収まらない大きな広間で遠くに玉座に威風堂々と魔王が腰掛け、その部下たちが魔王の方ではなく、こちらに正対して待ち構えているのが見えた。勇者パーティの前には、過去に始末した事のある多数のアンデッドの魔物たちが唸り声を上げて開戦の合図を待っていた。奥へ行くほど、すなわち魔王に近くなるほど、大型の魔物や魔属の幹部と思われる武力でも魔法でも戦闘能力の高い者が配置されているようであった。最後の一戦の火蓋が今まさに切られようとしていたのだった。

 奥の玉座の魔王がとてつもない大きな声で部下たちに開戦の合図をした。

「愚か者たちに死を。ー。」とだけ叫ぶと配下の全員が雄たけびを上げてこちらに向かって来た。

戦争が始まった。どちらの軍も持てる最大の武器や防御を使用し魔法も飛び交っていた。


 どちらもいわゆる通常攻撃レベルでは肉薄戦となり膠着状態で時間が経過していたが、SEIの掛け声と共にその均衡が破られた。

「みんな、修行の成果を見せてくれー。」とSEIは大技を使用することをみんなに促した。勇者パーティは先日の修行の成果を出し惜しみなく発揮していった。

Willは、光魔法最上位の神の裁きを唱えたところ、前方の雑魚魔物の大半が消滅した。アンデッド系に光魔法は一番効果を発揮した。

GORRDONは、ミスリルゴーレムを召喚して目に前の雑魚魔物の奥にいた大型魔物たちを遠くへなぎ倒した。やはり大型には大型が良く効くようだった。

IGLEE は、風魔法最上位のハリケーンを唱えて見たことも無い大雨大風で残っていた前方の雑魚魔物や大型魔物をほとんど飛ばし去った。

 三人の攻撃であれだけたくさん居た魔物たちは全てどこかへ行ってしまい、残りは魔王と幹部魔属のみとなった。勇者パーティは少し安堵の様子を浮かべた。

「愚か者たちに死をー。。。」と例の不吉な言葉を魔王はまた口にすると、地面からめきめきとアンデッドたちが復活してきて最初にいた量よりも多いアンデッドたちが出現した。これには勇者パーティはびっくりすると同時に気力を持って行かれるのが分かった。

「みなさーん。私の近くに集まって下さーい。」とWILはパラディンらしく全員に気力回復を施した。

おかげで、全員が戦闘前の状態に戻った。

「そんじゃ、こっちも。」とTOMOが全員に魔力回復を施した。

 魔王軍も勢力を盛り返した。幹部たちは闇属性の様々な魔法で勇者パーティを攻撃し始めた。それに合わせて魔物たちの動きも活発化した。まさに戦争で両者の打ち合いが激しさを増していった。


「そんじゃ、そろそろ私の番かなー。」と魔法使いTOMOは、闇魔法最上位のブラックホールを魔王配下の全員に向けて放った。ブラックホールは敵を肉体も魂も全て吸い込んでしまうので、大勢いた魔物たちが吸い込まれて戻ってくることは無かった。しかしさすが魔王はブラックホールに対抗する手段を持っていたようで吸い込まれず、周りの幹部たちと共にその場に残った。

「YUKIさん、ドラゴン召喚お願いー。」とSEIは残された最大戦力を使うことを指示した。

「分かりましたー。」とYUKIは素直に答え、ドラゴンのRYURYUを召喚した。

「我が力を欲するのか。ー。」とRYURYUはまたお気に入りの言葉を発した。

「RYURYU、欲するから呼んだのよー。魔王たち焼いちゃってー。」とYUKIはその問いに初めて答えた。

RYURYUは、無数の魔方陣を構築し、高温の炎で魔王とその幹部たちを焼き払った。


「やったのか。」とSEIはしばしの沈黙を破った。

「それ言っちゃダメなやつー。」とTOMOが即座に反応した。いわゆるフラグを立てるって奴らしい。

「戻って来そうにないですねー。」とYUKIが答えた。

「まだまだ油断できませんことよ。」経験豊富なIGLEEがさらに答えた。

「もう終わって下さいよー。」といつもの弱気なWILLが戻った。

「いや、終わっておらんのう。」と冷静沈着なGORRDONが音を聞くようなしぐさをしたので、全員が耳を澄ました。


 すると玉座が不気味な音を立てながら上へ上へと盛り上がってきた。すると、ソプラノとメゾソプラノが入り混じったような甲高い笑い声が聞こえてきた。その盛り上がった玉座は扉となって異空間と繋がっていたらしく、一人の裏ボスと呼ぶにふさわしい金ぴかの衣装に身を包んだ女性のような何かが現れた。

「あらー。ここ何百年も負けなかったのに、残念ーん。」とご挨拶代わりに言葉を発した。

「あなたたち強いわねー。でもここでおしまーい。」と不気味な言葉を発した瞬間こちらの事は何も聞かずに、無詠唱で魔法攻撃を仕掛けてきた。

「あぶねーなー。」と言いつつ魔法防御の結界を作ったのはTOMOだった。

他のみんなは自分の身を守る行動を取るのがやっとだった。さすがは大魔導士TOMOと言われたゲームで培った非常事態にも対応する反応速度であった。

「あらー、ほんとすごいわねー。」と無表情でさらに攻撃を繰り返してきた。

「あれは、魔女王だと思うわ。」と年齢を決して明かさないIGLEEがみんなに聞こえるように教えた。

「あらー、あらー、エルフもいるじゃない。私のこと知ってるなんてあなたお幾つなのかしら。」と魔女王も反応を見せた。それは魔王を裏で操っていた、魔女王とのことだった。おとぎ話レベルのことで実際に魔女王を見たのは現存する人間属では、勇者パーティは初めてだったようだ。

勇者パーティ側も反撃を試みた。先ほどのGORRDONがミスリルゴーレム、IGLEEがハリケーン、WILLが神の裁き、TOMOがブラックホール、YUKIがドラゴン召喚で魔女王に攻撃を行ったが効き目は無かった。

「あっらー、私にもできるわよー。」と魔女王は召喚魔法を唱えると、地球で6600万年前に絶滅したと言われる恐竜を召喚した。ティラノサウルス、ブラキオサウルス、トリケラトプス、ステゴサウルスなどで、さすがにドラゴンも恐竜の軍団には勝てなかった。

それでも、全員が死に物狂いで戦って魔女王以外の魔物や操られた恐竜たちとは一進一退の戦いを繰り返した。どれくらいの時間が経ったのだろう。とうとう全員が満身創痍で主要ステータスも底が見えてきた。

 あと一歩のところまで追いつめるがどうしても勝てない。魔女王はあらゆる魔法を一瞬で無効化し、何度攻撃してもびくともしない。いくら周囲の魔属に太刀打ちできても、魔女王には勝てないのは明白だった。もうここまで来れば全員の気力が持たなかった。このままでは勇者パーティ全滅が避けられなかった。魔女王は笑みを浮かべながら少しも攻撃の手を緩めることは無かった。


「みんなーよく聞いてくれー。俺の習得した魔法は勇者だけが使える最終奥義ギセデーラという魔法だ。」と正拳突きの魔法の手を緩めることなくみんなに語り掛けた。

「何なのそれー。出し惜しみしないで、早く使いなさいよー。」とTOMOはブラックホールの劣化版小ブラックホールを発動しながら、SEIをいつものように促した。

「うん、これは一度しか使えないし、最後にお別れの挨拶だけでもしとこうと思って。」とギセデーラが

自分を犠牲にして他全員を遠くへ逃がす魔法であることを匂わせた。

 YUKIはそれを聞いて悟った。SEIが自分を犠牲にして魔法を発動させようとしていることを。YUKIとSEIは恋人未満友達以上の関係だったので、SEIの魔法を「やめてーSEI、WILLお願い止めさせて」と必死で止めようとした。WILLにもSEIを止めさせるように説得をYUKIがお願いするがもう間に合わない。

SEI「あの世界はくそだったが、この世界のために犠牲になれて俺は本望だよ。ごめん、YUKI、みんなーーー生きろー。。。」勇者の肉体は魔法発動の贄となって消え、魂はどこか遠くへ行ってしまった。最後に口にしたのはやはりYUKIの名前だった。

 ギセデーラの効果で、勇者SEI以外の他の全員は冒険スタートの場所、ギルド本部に戻ったのである。

 

 ギルド本部の転移魔方陣の中にSEI以外の勇者パーティは居た。精魂尽き果ててというのはこのことを言うのであろう。全員泣いていた。勇者SEIの犠牲の上でみんなは助かったのであった。SEIの名前を呼びながら泣きじゃくるYUKI、泣きながら感謝の言葉を口にする一同、「あのバカ最後までカッコつけやがって。」と男言葉になって戦友を弔うTOMO、みんなが勇者SEIの名を口にしながら冷たい石畳の部屋から動こうとしなかった。

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