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幕間
薄暗い部屋の中に消毒液の匂いが充満し、管理された温度が肌を撫でる。
窓の外は至って春模様で暖かな日差しがカーテン越しに部屋に入っている。
ベッドには浅い息をして、僕の手を力なく握る幼馴染の姿があった。
「ねぇ」
きっと精一杯に発せられた細い声が鼓膜を揺らす。
「髪、ちょっと、伸びてきて、るよね」
手を握ったまま僕の前髪に触れる。
「私が、切って、あげよっか」
少し苦しそうに薄く笑う。
「最近ちょっと忙しくてね。でもいいよ。自分で適当に切るから」
僕も笑って見せる。
「だめだよ。変になっちゃうよ」
白く細い指が前髪を弄ぶ。
「うん。決めた。明日、ね。準備しておいて、もらうから、明日、も、来てね」
僕は―――。