表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニマる☆エンジェル  作者: けしごむ
1/11

#1『ケモミミ世界』

 二一世紀某日、ある男の手によって現世に天使を降臨させる実験が行われた。

 実験は失敗に終わったが実験の余波は凄まじく、施設を中心に数千キロメートルもの範囲を焦土に変えた。

 そして実験の影響はそれだけに留まらず、人の在り方を変えてしまった。



 酷く忙しく動き回る人や車。一定の間隔で絶えず明滅を繰り返す信号機。

 そこで信号が変わるのを待っている猫耳の生えた女の子。

 そんな日常が私に平和というものを教えてくれる。

「どうかしましたか?」

 横目に見ていた猫耳少女がニコっと笑ってそんな事を言いたげにこちらを覗き込んでくる。

 そんなにジロジロ見てしまっていただろうか。

「なんでもないですよ」

 私がそう言うと、少女はキョトンとして頭の上に?を浮かべていた。

 こんな日常がずっと続けばいいのになんて考えていた私の耳にけたたましいサイレンの音が聞こえてくる。

『現在市街地区にて急速な精霊値の上昇を確認しました。直ちにシェルターへの避難を開始してください。繰り返します』

「警報か」

 どうやら私の願いは神様には通じてくれず、今日も奴らがやってくるらしい。

 悲鳴に怒号、鳴り響く車のクラクションや急発進の音。

 これもまた、日常か。

 諦めにも似た感情に打ちひしがれている私の周囲はあっという間に重い空気に包まれて行き、地面を見ればそこにはまるで黒い絵具をぶちまけたかの様な、塗りつぶされたかの様な歪な円形状の模様が現れていた。

天門ゲート・・・」

 黒く禍々しいそれは天門と呼ばれ、亡霊ゴーストと呼ばれる化け物が出現する際に現れる紋章。

 そこからジリジリと音を立て這い出てくるそれは、黒く伸びた髪のような触手に手足、這い出るにつれ大きさを増す頭上の環、この世の物とは思えない異形の姿。

 あの、世界を滅ぼしかけた実験が影響を与えたのは人間だけなんて事はなく、この様な亡霊を生んでしまった。

 そして、この化け物と戦うことが出来るのが、

「そこの人さ」

 そう言って先程までとは打って変わり、すんと澄んだ顔をし、猫耳を生やした少女はゆっくりと前へ歩んで行く。

 少女の周囲に次第に光が集まり、やがて光の環になって頭上に浮かぶ。

 気づけば背中には白い翼を携え、その姿はまるで、天使の様に写る。

「危ないから」

 暴風にも似た風を立て天へと飛び立ち、翻って、下界の敵をその目に映す。

 瞬間、激しい閃光と共に無数の斬撃が地上へと降り注ぎ、それを追うように少女も降下し止めの一撃を放った。

 数瞬置いてやってきた爆音と、バラバラに割かれた亡霊の残骸が、如何に凄まじい攻撃であったかを物語っている。

 少女はふわりと亡霊の残骸の上に降り立ち、頭部にある環に爪を突き立て、その禍々しい異形の環に振り下ろした。

「逃げた方がいいよ」

 ピースサインをしながら苦笑いし、遅すぎる忠告をしてくる彼女に私は、

「あっ…ありがとうございました」

 と、忠告の方ではなく、助けてもらったことに対しての謝意を述べた。



 天使が顕現する際に生じたエネルギーが人体に影響を及ぼし、それ以来生まれてくる子供は、何らかの動物の特徴を有している。

 そして、そのエネルギーは精霊アニマと呼ばれ、精霊を持って生まれてきた者たちを我々は、精霊術師(アニミスト)と呼んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ