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旅の記憶 さすらい雲   作者: 報苔京
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記憶の中の旅日記「懲りないとダメだな」

「懲りないヤツだな~」

 過去を振り返った時、なんとなくずっと言われ続けたフレーズのような気がする。

 失敗して痛い目にあい後悔し反省もするが、残念なことに自戒の念を継続できないようなのだ。

 酒であったりカネやギャンブルであったり、もちろんオンナであったりもしたのかな。

 いやいや、それはないか!

 例えばゴルフはまさにソレだった。

 ミスショットしトラブルに見舞われた時、どうして練習場で百回に一回しか打てないようなスーパーショットが打てるのではと過信してしまうのだろう。

 結果はさらに悲惨な状況になり、ホールアウト後スコアを転記しながら、いいようのないどん底感にさいなまれるのだ。

 まさしくそんな「懲りないヤツ」だったような気がする。

 

 さてさて面前に広がる浜松城。

 ここの城主も後悔し懺悔した出来事があったのだが、彼はその反省を肝に銘じしっかり脳裏に焼き付ける方法をとった。

 要するにしっかり懲りたのである。

 話はこうだ。

 チョイと現代語調で説明しよう。

 時は戦国時代。

 若き浜松城主徳川家康は、織田信長を打倒すべく南下してくる武田信玄の大群を迎え撃つべく、信長に援軍を頼む。しかし、信長の答えは「信玄は強いし君じゃ無理だから城を捨てて名古屋まで逃げなさい」だった。

 家康は拒否した。

 プライドが許さない。

 作戦会議を開くが家来たちは籠城を進言。しかしこれも拒否、無視されて浜松横を通過しようとする信玄軍を三方が原まで追いかけ陣取った。

 とりあえずは正々堂々とカッコよく戦をしたかったのだ。

 しかしこの戦いはわずか2時間で決着がつく。

 万全な体制を整えて待つ武田軍に、三方が原に誘いだされたかたちの徳川軍は崩壊、家康は自らの鎧を脱ぎ捨て家臣の鎧に着替え、恥じも外聞もかなぐり捨てて浜松城に逃げ帰ったのだ。

 家康は、初めてこの時死を意識した。

 信玄は追っかけてきてきっと城を焼き払うのだろうな。

 恐怖のあまり身体の震えが止まらない。

 有能は家来達も死なせてしまった。

 プライドとか見栄えといった見せ掛けに翻弄されてしまった自身を後悔し武田の軍門にくだることも覚悟した。しかしそんな家康を無視するように、信玄は浜松城下を通過し京へと急いだ。

 望みを繋いだ家康は絵師を呼ぶ。

「いまこの私のぶざまな姿を絵に残してくれ。一生の宝にするから」

 その後家康は事を起こすとき、必ずこの絵をじっと観てから思慮したのだという。

「大きな事の前には、準備工作が大切だ」と肝に銘じた。

 つまり心底懲りたのだ。

 その後は石橋を叩いてから渡るようになり、天下人に上り詰める。

 三方が原の戦いは、家康が生涯でただ一度の敗戦を味わった合戦とされている。

 出世城、それが浜松城なのである。

・・とまあ歴史の勉強はこのへんにして、予約した鰻屋に急がねば。

 浜松の日本酒、これまた「出世城」という銘柄。

 蒲焼きを十分に満喫し飲み過ぎのためか焦点が定まらぬまま、駅に隣接する高層ホテルのスカイバーから眼下を見渡した。

 寝る前の仕上げとはいえ、相変わらずアルコール量がオーバーランしている。

 明日の朝もきっと辛いんだろうな。

 朝一で名古屋に移動せねばならない。

 懲りないヤツだな、ほんとに。

 鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥(ホトトギス)

 家康はこの城でそんな人生訓を構築させたのか。

 それもアリなんだよな。

 まあ、焦っても仕方ない。

 そうだ、二日酔いの寝起き顔を写真に撮って、スマホの待受画面にでもしようかな!

         (静岡浜松、鮎狩)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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