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旅の記憶 さすらい雲   作者: 報苔京
37/66

記憶の中の旅日記「セピア色とフルカラー」

 少女らの ほほえみ映える セピア色


 ホテルの横は平和記念公園。

 駅に向かって歩いていると、「ヘーイ、ピース!」と少女達のかん高い歓声が木霊し足を止めた。

 あらら、観光名所化しちゃってるよなー。

 修学旅行に何故ココが選ばれてるのかわかってる?

 ヒロシマのメッセージ性はどこにいってしまったのかな?

 そんな感慨にふけりながら原爆ドームを一瞥し、また駅に向かって歩きだした。

 フルカラーの少女達とセピア色の原爆ドーム。

 不思議なパラドックスに歴史の風化を想った。

 額の汗を拭きながら歩調を早めようとすると、またウェーブのような歓声が背中から押し寄せ、もう一度ドームを振り返った。

 すると今度は、不思議なことに、ドームのセピア色がフルカラーの少女達を包み込んでいるように映った。

 今そこにある、今ココに集った平和の象徴達をそっと優しく愛おしく抱いているようにも見えた。

 公園全体を見渡した。

 そうか、そうかもしれないよな。

 ピース!

 少しだけ人目を気にしながら、そのセピア色に指をかざした。

 このセピア色に、こんな苦難の歴史に抱かれてるからこそ、結局みんなで自由に好き勝手なことを言い合ってられるんだよな。

 

 平和ボケ?

 違う、過去に守られているんだ。

 苦難の歴史に優しく抱かれているんだ。

 だからこそ、であるからこそ無防備で平和を享受できているんだ。

 もう一度、今度は平和の象徴であるフルカラーの少女達に声が届くように歌いかけた。

 ♪ラブ・レボリューション21 ピース!♪


 ?? やっぱりオレが一番平和ボケなのかぁ!

        (広島・原爆ドーム、晩春)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)



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