記憶の中の旅日記「落語鑑賞江戸散歩②」
土曜、朝から大雨。
退屈しのぎに近くの寄席に出向いてみた。
久しぶりの落語。
なんというかやっぱり古典芸能は渋いねぇ。
若い頃から、落語は結構聴いていた。
日本独特のウィットというか、笑いのペーソスがなんともたまらない。
なかでも日本語をうまく利用した駄洒落はいたって好きなのである。
まあ、日々の生活でいつも駄洒落を駆使しているからかもしれないが・・・。
そんな中でも新作落語というのはなんとも奥深い。
このネタ、最後はどんな感じで落とすんだろう?
期待は膨らむのだが、結構サラッと終わる。
古典落語も含めそんな終わり方をする。
なぜなのか?
「お後がよろしいようで…」
だからなのだ。
私のネタなんて、あくまでも前座、お後出番の準備が整ったようなので、ココはサラッと終わらせて頂きます、という何とも奥ゆかしい終わらせ方なわけ。
そんなこんなで昔聞いた、感動モノの落語ネタをひとつ披露しましょう。
ある雪のふる寒い夜、家の玄関先で綺麗な娘が凍えながら倒れていた。
気付いた爺さんと婆さんは家の中に運びいれ必死で看病する。
朝になり意識を取り戻した娘は体調も徐々に回復、夕方にはすっかり元気を取り戻した。
夕食をとりながら娘は何かお礼をしたいと申し出る。
「ぜひ奥の部屋をかしてください」
それと明日の朝まで決してドアをあけないでと付け加えた。
婆さんはピーンとくるわけだ。
「爺さんや、これはほら、あの××の恩返しだぁ~」
「??? そうかなぁ??」
爺さんは首を横に傾けながらピンとこない。
夜になり耳を澄ますと、ドアの向こうからはカタ・コトと音がする。
ほら、やっぱりね。
ココで邪魔しちゃ良い反物ができない。
婆さんはジッと我慢するも、爺さんは中の様子が気になってなかなか眠れない。
ついに我慢できなくなった爺さんは、ドアをそっとあけてのぞき見る。
するとなんということでしょう。
その娘は、あちこちタンスをあけ金目のモノを袋に詰めていた。
びっくりした婆さんはギャア~と大きな声をあげへたれ込む。
見つかった娘はあわてて白い鳥に変身。
窓をあけ袋を小脇に抱えパタパタと飛び去っていった。
腰を抜かす婆さん。
「はっ、早く追いかけてぇ~」
しかし爺さんは妙に冷静に感心しながらつぶやいた。
「そうかぁ、あの娘、ツルじゃなくてサギだったんだぁ・・なんか首が短いとは思ったんだよな!!」
お後がよろしいようで。フムフム。
イキな爺さんだ、落語にピッタリの登場人物。
そういえば最近年寄を狙った振り込め詐欺が多発しているらしい。
これまたなかなかイキなポスターだな!
(東京新宿、晩春)




