記憶の中の旅日記「これまた運命だな」
またしても北陸にいくことになった。
前回は10月。
そーか、また金沢か~。
すぐ思いついたのは越前蟹の香箱…コウバコ。
香箱というのは雌のズワイ蟹で、お腹に赤い卵をたくさん抱えてる。
11月中頃解禁になり、12月までが旬。
そうか、食べに来なさいってことか。
ゆでた蟹の甲羅をカパッと開けると、赤い卵と黄土色の味噌がふんだんにへばりついている。
独特の海の匂いを漂わせ、まさしく香箱なのだ。
次に浮かぶのは寒鰤…カンブリ。
鰤と言えば出世魚。
成長するごとに呼び名が変わる。
ワカシ・ワカナ→ハマチ→イナダ・メジロ・ワラサ→ブリと変化するわけだ。
さてさて今回の出張、ちょいと遊びの時間も多めにとった。
日本海の旬を味わい、もうひとつの旬、義経の史蹟である安宅の関を訪ねようと計画していた。しかし、好事魔多し、古都は大雪が舞っていた。
25年ぶりの大寒波が襲っていたのだ。
ビニール傘を買い雪道を歩いていると、これも旅ならでは・・・初めての体験をした。
ドドーンと天が裂けんばかりの雷がなる。
するとその後にドーンと大粒の雪が落ちてくる。
ピカッ・ドドーン・ドーンなのだ。
そのたびに慌ててビルの軒先に逃げ込んだ。
これが北陸名物雪雷。
別名ブリ起こしともいう。
海の底に潜んでいたブリがびっくりして海面近くに浮いてくる。
漁民にとっては格好の漁の合図なのだ。
夜になった。
雪はその勢いを増していた。
意を決し、革靴でスケーティングするように、行きつけになった料理屋「五郎八」に向かった。
老舗の暖簾をくぐり、カウンターに陣取ると、さっそくその旬を注文した。
脂がのりほどよい霜降り。
しかもキリッと身が絞まっている。
地酒手取り川が心地よくジョイントし酔わせた。
ところでこの「五郎八」、店のキャッチコピーがなかなか粋なのだ。
『おふくろの味が一番。二番目を目指してつくりました』
雪道を考慮しその夜はほどほどで退散した。
翌日もさらに雪は増していた。
交通も大混乱。
帰り、空港そばの安宅の関に寄れるだろうか。
えーい、初心貫徹、小松駅からタクシーの運ちゃんに強行をお願いした。 しかし、まあこれも旅の醍醐味。
飛行機は3時間遅れ、買ったばかりの革靴を犠牲にすることになったのだが、帰れたので、これただけでもヨシとするか・・。
(北陸・金沢ー酷寒)




