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旅の記憶 さすらい雲   作者: 報苔京
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記憶の中の旅日記「戦後日本繁栄の象徴かぁ」

 鉄の城下町、錆びてしまった釜石の愛称。

 小さな港町だったこの町を日本製鉄が生産基地にしたのはもうはるか昔。

 三万にも満たない人口は全盛期には十万に迫る勢いだったらしい。

 鉄関係の会社の社員家族だけで六万、町の税収はいきなり潤った。

「昔は市内に新日鉄の保養施設がたくさんありましてね。市民は自由に利用することができたんですよ。グラウンドも体育館も食堂もなにもかもね」

 駅前のうどん屋のオヤジが感慨深げにつぶやく。

 鉄景気が盛況を極めると引きずられるように漁業は衰退。

「漁民の子供たちがみんな新日鉄に就職しちゃいましたからね。給料もいいし仕事もきつくないしね」

 バブル崩壊も重なり戦後日本を支えた鉄鋼産業は衰退。そしてこの大企業もこの町から去っていった。

 人口は三万人に逆戻り。

 空き地だけが残った。

「釜石は今じゃ老人比率日本一ですから」

 オヤジが目を細め苦笑いした。

 市の税収はいきなり底をつきなぜか貯えもない。

 すべて大企業に任せきりの体質だった。

「いわゆるアリとキリギリスですわ」

 店を出て見わたすと、ただ1本の煙突だけが残り火のように白い煙を寒空の中にたなびかせていた。

 ヤバい、慌てふためき1時間に1本しかない電車に飛び乗った。

 奥羽山脈を越え花巻温泉に到着するころには、あたり一面が吹雪に包まれた。

 雪景色の温泉が待っている。

 とはいえ、この地域はこの寒さがたまらんのだよなぁ。

       (岩手・釜石・花巻、寒月)

*震災前に訪れました

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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