記憶の中の旅日記「浪速の雨はシツコイな」
旅先での雨は疲れる。
足元のせいもあるけど、荷物もって傘さしてというのは結構辛いものがある。
ましてやこの時期はムシムシ感が残ってるし、こうなったらタオルを首にかけて歩きたいほど。
関西3日目、やっぱり今日も雨模様。
ついつい演歌を口ずさんでしまう。
♪ひとりで 生きてくなんて できないと
泣いてすがれば ネオンが ネオンがしみる
北の新地は 思い出ばかり 雨もよう
夢も濡れます あゝ 大阪しぐれ♪
都はるみの「大阪しぐれ」
そういえばこの辺は近松曽根崎心中の舞台でもあるんだよなぁ。
そうか、曾根崎はウエットな時雨模様が似合う街なのかもな。
よし、だったら今夜はカラオケにでも行くか!
そんなこんなで夜になった。
泉の広場を駆け上がった阪急東通りアーケードの奥地、若かりし頃の行きつけだった変なスナックはビルごとなくなっていた。
何が変なのかというと、ママは男でマスターが女で二人は夫婦関係らしいのだ。
あの二人はもう死んじゃったかなぁ?・・・
仕方がないのでウロウロしながら近くのビルの4階のスナックに飛び込んだ。
「いちげんさんはお断り・・・かな??」
これがいわゆる受け狙いの礼儀、そんな感じで明るく尋ねると、ちょっと間をおき、一応了解がでた。
生を一気飲みし、勢いつけて大阪しぐれを皮切りに演歌のオンパレード開始。
1時間過ぎたが、まだ、お客は現れない。
雨が客足を遠のかせているのか。
「演歌お上手ですね」
「あのぉ、演歌も上手なんだけどなぁ! ママはどんなんが好みなの?」
ニコッと笑い壁を指差した。
「おー、よっしゃー!じゃ次はサザン特集ね」
「よっ、待ってましたぁ」
愛想よく浪花生まれのママは笑った。
「ただし、キー2コ下げてね!それとあれだ、ボトル1本入れとくかぁ」
「あいよぉ・・・」
今度は、それこそ溢れんばかりの満面の笑みを返してくれた。
(大阪・曽根崎、初秋)




