表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朱雀院  作者: 夢野ユーマ
36/43

四十の賀

ところで、今上の御所では、本院、一条、髭黒の他にもう一人、重きをなすものが現れた。


明石の君である。


明石の君は皇后、明石中宮の生母として、御所にずっと滞在していた。

明石の君は神秘性にくわえ、優れた政治力を持ち、発言力をどんどん増していた。


そして、明石の君は薬を持参して、時折、朱雀の所も訪ねていた。

朱雀、一条、朝顔の姫宮、そして何故か朧月夜もいた。


明石の君は「薬は毒にもなります。お詳しい本院さまに確かめていただきましょう」

と薬種を皆の前に広げた。


「これが何か分かりますか?」

「人のような形をした・・・話には聞いたことがある・・・『東洋』人参と言うものであろうか?」

「左様にございます・・・」

「貴重なもの・・・高価であろう?」

「本院さまのご家族のため・・・惜しくはありませぬ・・・」


明石の君は、薬種を刻んだり、砕いたりして、煮込み、薬湯を五つの茶碗に入れて、差し出した。『道具も格別にぜいたくなものだった。』

「源氏の君にも差し上げているのか?」

「ふふ・・・あんな人、差し上げる価値もありませぬ・・・」


真相は分からないが、朱雀は少し寒気を感じた。


「源氏の君を太上天皇に、と言うのは、そなた様が今上に奏上したのか?」

「いいえ、私のような卑しい女が御政道に口出しするなど、とんでもないことです」

「・・・」


一条が話を少し変えた。

「実は・・・落葉の宮が、柏木のところに嫁ぐことになりました」

「良き御縁にございます。おめでとうございます」

「女三の宮のことを思いあぐねているのですが・・・良き御方はいらっしゃらないでしょうか?」

「私のような卑しい女が口出しする問題ではございませぬ・・・」


五人は不思議な雰囲気で、薬湯を飲んでいた。



そして、源氏の君の四十歳の秋『朱雀は四十三歳』、九月九日の節句の後、朱雀院と源氏の君の四十の賀が六条院で、行われることになった。

冷泉の意向により、かかり『費用』は源氏の君が持ち、皇族、貴族はそんなに大々的に出かけないと言う事だったが、源氏の君は得意の絶頂にいた。


本院、一条、朝顔の姫宮、冷泉、秋好中宮、太政大臣家の女御、式部卿宮家の女御、今上、明石中宮、太政大臣、四の君、柏木、紅梅、髭黒、玉鬘が参加した。


迎える源氏の君の側は紫の女王さん、明石の君、花散里夫人、麗景殿女御、末摘花女王、夕霧と言う顔ぶれだった。


宴の時、朱雀にはとても小さい盃が出された。『お酒を召し上がらないからである。』

朱雀は感心して紫の女王さんをほめた。


「よく考えていらっしゃる」

「いいえ、明石の君さまの御配慮にございます。それより、本院さまは一回のお食事の時、お茶を二杯しか召し上がらないとか。今日は何杯でも、お召し上がりくださいまし」

「いやいや、申し訳なし。まがりの水をいただこうぞ」


宴は、それなりにあたたまっていたが、それをぶち壊したのは源氏の君だった。


食事と終わる頃、突然、「ぐわっ!!」と倒れたのである。まだ若い今上、冷泉、夕霧、柏木、紅梅は顔色を変え、立ち上がったが、本院は「うろたえてはなりませぬ!!」と一喝した。


「初めてではないのであろ。明石の君、お薬は?」


「ええ、ございます。心の臓の薬にございます。最近、よく痛みを訴えていたのですが・・・はしゃぎ過ぎて、体にこたえたのでしょう」

明石の君は源氏の君に、薬とまがりの水を飲ませた。

源氏の君は息をふきかえした。


それで、宴はおじゃんとなった。

本院は明石の君に、○○と△△を飲ませなされ、と指図して、御所に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ