17 元魔王
黒影宮に着くと、いつもの三人+ダリルで作戦会議を始めた。
「なんでダリルがいるの?メアリーでさえ退出してるのに」
「ダリルはフィオナの守り人だからいいのよ。ペットのワンコがいるとでも思っておきなさい」
「ワンコね。ふふふ。ダリルにはお似合いね」
「アリューシア様、姉上に変なことを教え込まないでください」
「さて、今日の様子だと学院に魔神がいるのは確実だな。おそらくデビリアスもいるだろう。学院内は授業以外で魔術は使えないから毒と魔神の神力に気を付けていく必要がある」
エドワードは三人を無視して話を進めた。フィオナは『守り人』が何なのかアリューシアに聞きたかったが、エドワードの有無を言わさない圧力に負けた。
「そうね。毒については一通りの薬草は持ち歩いているから万が一飲んでしまっても大丈夫よ。毒が入っているか分かるような魔道具を探してもらってるわ」
「えっ誰に?」
「土の妖精よ。私は土の女神だもの」
「なるほどね。一つ気になるんだけど、魔神やデビリアスはどうやって学院に入ったのかしら?魔術が使えないのだから変術も使えないのよね?」
「魔神は神力で変装なんてどうとでもできる。デビリアスは二千年も封印されてたんだ、姿が変わっていてもおかしくは無い」
「うーん。魔神てそんなに凄いの?リリアナの記憶にはいなかったよね?」
「リリアナは魔神を嫌ってたから魔神に関わる記憶を抹消したんだと思うわ」
「魔神の性格が分かれば捕まえることも出来るんじゃない?」
「そんな簡単な話ではないのよ。魔神は元魔王なんだから魔術だけでも桁違いだし、神力も上手く使いこなせているの。全盛期のリリアナでないと倒せないし、捕獲も無理ね」
「ま、魔王!?なんでそんなのが神様になってるの?誰も止めなかったの!?」
「えーと、もう初めから話した方がいいわね。
魔神は元々魔族だったの。大人しい青年だったんだけど、幼い頃から酷い虐待にあっていて、兄弟も彼を虐げていたの。
ある時、一人の人間の女性と出会い、ひっそりと愛を育んでいたのだけど、それが家族にバレてしまい、彼女は魔族に生きたまま食べられてしまった。それも愛する男に見られながら。
それから魔族に対する恨みが酷くなり、ほとんど全ての魔族を殺したの。魔族は死ぬと体内から魔石が出てくるのだけど、その魔石には死んだ者の魔素が蓄えられていて、食べると体内の魔力が増えるの。その魔石を彼は食べていた為、とても強くなったわ。そしてついに当時の魔王まで倒してしまった。
天界でも問題視していて、一部の魔族を保護していたのだけど、見つかるのも時間の問題だったわ。リリアナが魔王と話をつけに行くと言い出して、他に解決策もないし、私とリリアナと武神の三人で城に向かったの。
そしたら、魔王がリリアナに惚れちゃって、天界に行くって言い出したのよ。さすがに魔力が尋常じゃない魔王を地上に残すのも問題だと思って、渋々天界に連れて行くことになったの。そして、成り行きで魔神になっちゃったってわけよ」
「まぁフィオナは魔神に近づかないのが一番だ。拉致、監禁されないように神力を着けないとな」
「そんなに危険なの?一応魔神はリリアナの事が好きなのよね?」
「天界でリリアナへのアプローチが凄くて、リリアナが避けまくってたら、拉致・監禁されてて、救出に行った時にはベッドに括り付けられて、裸の魔神がキスしようとしてたわ。あ、安心して、リリアナはきっちり服を着ていたし、操は守ったわ。それが一度や二度じゃないのよ。充分に注意して頂戴!」
(怖い!!めちゃくちゃヤンデレじゃないの。一歩間違えば殺されて剥製にされそう。ストーカーってレベルじゃないわ)
恐怖でブルブル震えるフィオナをエドワードが後ろから優しく包み込んだ。
「フィオナは私が必ず守るから大丈夫だよ」
そんな二人をアリューシアとダリルは温かい目で見ていた。




