15 入学式
やっと入学式です!
リリアナの記憶を三人で全て見てみたが、所々故意に消された部分があり、偽のリリアナが殺された所で記憶が終わっていた。膨大な量の記憶を見てきた為三人とも疲労困憊だった。
「ふぁー。眠いわ。でも明日は入学式だし準備しとかないと」
「フィオナ様、私がやりますのでおやすみください。あ、アリューシア様の分も用意しますので」
「「ありがとう」」
「ん?アリィも入学するの?」
「フィオナが産まれた時、私も出生届を出して貰ったのよ。二千年前に人間と結婚して、伯爵位を持つ子孫がいるの。現当主にお願いしてるし問題ないわ」
「えぇーー。そ、そうなの」
(女神と人間が結ばれるなんて物語みたい。ダリルが言ってた物語ってアリィのことだったんじゃないの?私がたまたま死んだフリしちゃったから混ざって変な物語になったのかも?)
「戸籍上の兄も学院にいるみたいだから後で紹介するわね」
「う、うん」
次の日、制服に身を包んだフィオナ、アリューシア、ダリルは馬車に揺られていた。女子の制服はワンピースでウエスト部分でリボンが巻かれ腰の部分で蝶々結びをされ、スカート部分はボリュームを抑えた作りになっていた。色は入る年によって異なり、今年の入学者は青がメインカラーだった為、水色のワンピースにリボンが青だった。男子は白のワイシャツに青のジャケット、青のズボンだった。
「ダリルもこれから私と黒影宮に滞在するの?」
「毎日姉上たちを迎えに行くのも大変だからそうするつもりですよ」
「ふーん。コンラッド殿下の護衛もするんでしょ?」
「メインは姉上であっちはおまけですからね。きっと姉上に纏わりついてくるんだからって押し付けられただけですから。一応どっかの騎士の令息がつくって話なので大丈夫ですよ」
「姉弟なのにずいぶんと堅苦しい話し方なのね」
「私は姉上、いえ、リリアナ様の守り人ですから」
「ふふ。記憶を思い出したのかしら?頑張って頂戴」
「ん?まもりびと?」
「姉上のお守役ですよ」
「むっ!?私の方がしっかりしていると思うのだけど?」
「フィオナ、そろそろ着くわ。人が大勢いるから笑顔を作りなさい。王太子の婚約者でしょ」
「分かったわ」
フィオナは笑顔を貼り付け、ダリルにエスコートされて馬車から降りた。入学式の会場には人がひしめき合っていたが、フィオナたちが現れるとしんと静まり返り、自然と人が避けてくれ、指定席まですぐに辿り着く事ができた。
入学式は理事長の挨拶から始まり、入学生代表としてコンラッド殿下が抱負を述べ、最後に生徒会長の挨拶で終わった。疲れていたフィオナは軽く居眠りをしていたが、それに気づいたのは隣に座るアリューシアだけだった。
「次はクラス毎の教室に向かうのよね?私はどのクラス?アリィと同じだといいわね」
「そうね。えーと、私はAクラスね」
「三人とも私と同じAクラスだよ」
「コンラッド殿下!」
「久しぶりだね。フィオナ。これからよろしくね」
キラキラの笑顔をフィオナにだけ向けた。フィオナは一歩後退りしそうになったが、アリューシアに止められた。
「殿下、お時間が迫っておりますので教室へ参りましょう」
コンラッドの後ろにいた黒縁眼鏡の青年がコンラッドとフィオナの間に立ち、フィオナを睨みつけた。
キョトンとするフィオナを置いてコンラッドは「また後で」と言い残し、連れて行かれた。
「姉上に敵意丸出しですね」
「なんでかしら?」
「彼の妹はコンラッド殿下の婚約者候補なんですよ。王太子の婚約者になったにもかかわらず第二王子の婚約者候補でもあるのが許せないのでしょう」
「それってコンラッド殿下とお父様の契約だから仕方なく婚約者候補になってるだけで、ただの名前だけでしょ?」
「いえ、コンラッド殿下は夜会で『兄上から婚約者を奪還する』と言ってるそうですよ」
「へっ?」
「フィオナ、男の執着心を侮っちゃダメよ」




