14 リリアナの記憶④
アリューシアが帰宅してから3日後にフレディが帰宅した。フレディを見たリリアナの怯え方は尋常じゃなかった。ずっと泣き続け、『ニックを返して』と叫び続け、少しでもリリアナに近づくと『大嫌い、ニック以外の人と関係は持ちません』と大泣きし、過呼吸になった。
『フレディ、もうリリィに近づくのはやめなさい。あなたの心が壊れるわ』
フレディはフルフルと首を横に振った。
『あの妖精の呪いを解かなければならない。このままではリリィが死んでしまう』
『リリィは神なのよ。そんな簡単には死なないわ』
その後、フレディの努力もあり、極たまに正気を取り戻すまでに回復した。正気を取り戻した時のリリアナはフレディにべったりでアリューシアがいてもキスをせがんだ。これは呪解の副作用だったようで、フレディはリリアナの純潔を守る為に耐えていた。
『フレディは私のこと嫌いなの?』
薄いネグリジェ姿で瞳をウルウルさせたリリアナがベッドの上でフレディを見上げていた。
『違うよ。僕はリリィを愛してる。ただ今の状態でリリィを手に入れても僕は嬉しくないんだ。分かって欲しい』
『リリィ、今日は私と寝ましょう。女同士色々お喋りしましょ』
アリューシアがリリアナを引っ張って連れ出してくれた。
『はぁ。大嫌いの連続に誘惑。どっちも苦痛だ』
このような事が何度も続き、耐えられなくなったフレディは気晴らしに友人とお酒を飲みに行くことになり、泥酔して帰ってきた。
『フレディ、お帰りなさい』
『リリィ、ただいまぁ』
リリアナはフレディに抱きついた。フレディはリリアナに誘われるがままに一緒にベッドに入った。二人は呪いのことも忘れて夢中で愛し合った。リリアナの身体にはフレディの愛を示す赤い跡が散りばめられ、翌朝起きたフレディは自分のした事に驚愕した。
それから数日後、一人になったリリアナの元に妖精がやってきた。
『リリアナ様、お体は大丈夫ですか?』
『えぇ。やっと愛する人と結ばれて本当に幸せよ』
『ニック様ですね。それは良かったです』
『いいえ、フレディよ。ニックって誰?』
『な、な、な、何ですってぇー!?フレディ様と体を繋げたのぉ!!?』
妖精は怒りにワナワナと震えていた。
『そうよ?』
『そう。これは大変な事になったわ。命ばかりはとらないと決めていたのだけど。呪いを解いてあげようと来てみればこんな事になるなんてね』
ぶつぶつとリリアナに聞こえないような声で妖精は呟いていた。
『どうしたの?』
『何でもないです。ちょっと急用を思い出したので失礼します』
妖精はスッと姿を消した。
『あれが私に呪いをかけた妖精なのね。あの様子だと次に会った時は私を殺すのでしょうね。まだ呪いにかかったフリをしていないとダメみたいね。フレディには申し訳ないけど…』
一週間後寝ているリリアナの元に妖精がまた現れた。妖精は人型になり、黒い悪魔を連れていた。悪魔はリリアナの胸元に手をかざし、心臓を取り出した。妖精がその心臓を握り潰し、元の形に再生させた。ただその心臓は動いていなかった。それを受け取った悪魔はリリアナの胸元に戻した。
『これで本当に死んだのかしら?』
『ダビリアス、安心しろ。この女はもう生きていない』
『これでフレディ様は私のものね。ふふ』
デビリアスと悪魔が姿を消した後、ベッドの下から這いずる者がいた。
『ふぅ。ちゃんと騙せたかしら?』
リリアナだった。




