11 リリアナの記憶①
短めです。
翌日、フィオナは部屋でアリューシアと朝食を取っていた。エドワードは王城での仕事があるらしく、朝早くから出かけて行った為、二人でまったり朝食を取ることにしたのだ。
「う〜ん。このパンふわふわで美味しいわ。このスープも濃厚で、パンに付けて食べても美味しい」
アリューシアはほぼ二人分の量を絶賛しながら食べていた。フィオナはそれを睨みながら黙って殆ど形のないお粥をすすっていた。
「フィオナは1ヶ月も寝ていたんだもの暫くはお粥で我慢なさい」
「分かってるわよ」
「ふう。もうお腹いっぱいだわ。フィオナのとこの料理人て天才ね。これだけ地球の料理をこの世界で再現できるなんて凄いわ」
カラーン
フィオナは持っていたスプーンを床に落としてしまった。
(えっ?今、地球って言った?何?アリィはなんで地球を知ってるの?)
メアリーが落ちたスプーンを拾い、新しいスプーンを手渡した。
「あ、ありがとう」
「フィオナ様の為にとアレンをこちらに呼び寄せておいて良かったです。アレンは王宮料理人に匹敵する料理人ですから」
自分の恋人を褒められたメアリーは顔を赤らめながら熱弁した。
「そ、そうね。」
「ところで、アリィは地球で暮らしたことがあるの?」
「あら、私は地球で産まれたのよ?」
「えっ?この世界の地の女神なのに?」
「どこから話したらいいのかしらね。うーん。
まず、一般的な神の知識として、創世の神は神と神の間にできる子供でしかなれないの。そして、創世の神が世界を作ると、地の神や農業の神、武神などが誕生する。
リリアナは地球の創世の神と地の女神との間にできた子供なのよ。地の女神が妊娠したことによって、次の地の女神になるべく私が産まれたの。
まぁリリアナと年が近いってこともあって仲良くなったのよ。そしてリリアナが修行を終えて、世界を創世するってなった時に一緒に着いてきたってわけよ」
「えっ!?神様に親がいるの?妊娠までできるなんて。地球が本当の意味で故郷だったのね」
フィオナは混乱する頭の中を無理矢理整理した。
「ふふ。神の世界も人間の世界と似てるでしょ?面白いわよね」
「本当ね。神と人間て近い存在なのね」
「あなたはもっと神のことを知っているはずなのよ」
アリューシアは悲しそうな顔をしてフィオナを見つめた。フィオナは戸惑いを感じ、俯いた。
「フィオナを殺そうとしているのは二千年前にリリアナを殺した女なの。あの女は闇の力を手に入れ、莫大な力を持っていた為、当時は殺すことが出来なかった。だから封印することにしたんだけど、それも破られてしまった。
実はね、リリアナがどうやって殺されたのかは誰も知らないの。死んだリリアナを最初に見たのは私なんだけど、傷一つなかったのよ。でも死んでいた。何で死んでいるのかとっても不思議だった。だってリリアナは死なないはずなのに」
「死なないはず?」
フィオナは思わず顔を上げてアリューシアを見つめた。
「神はね、不老ではあるけど不死ではないのよ。ただちょっとやそっとでは死なないからほぼ不死だけど。それに死ぬには条件があってね、産まれた世界でないとダメなの。
あ、一つ言っておくけど、二千年前に死んだリリアナは創世の女神の半神だから、この世界の創世の女神が死んだ訳ではないのよ?」
「それじゃぁ何でリリアナは死んだの?それに半神て何?私がもう一人いるの?」
未知の情報で頭が混乱したフィオナは頭を抱えてしまった。
「ごめんなさい。色々詰め込みすぎたわね。私が言いたいのは二千年前リリアナが死んだ理由を知るのはリリアナだけってことよ。だからリリアナの記憶を解放して欲しいの。半神についてもその記憶から知ることができるわ」
暫く沈黙が続いた。
「エドワードが帰ってくるまでに考えといて」
そう言うとアリューシアはメアリーを共だって部屋を出て行った。
(リリアナの記憶が手掛かりなのか。何で私はこんなにリリアナの記憶を解放したくないんだろう?怖いから?あ、リリアナの記憶を解放して自分の何が変わってしまうのが怖いんだ。黒くドロドロとした何かに心が蝕まれるような感じがする。嫌だ。思い出したくない)




