6 闇落ちした妖精
大変お待たせしました。
妖精たちが住う森の最奥に禁断の地と呼ばれ、何人たりとも立ち入りを禁じられている地域がある。その地は何重もの結界が施され、普通の妖精では立ち入りができない。人間には幻覚の魔法が施されているためただの崖にしか見えないようになっている。
この禁断の地には闇落ちし、悪魔に心を売った妖精が封印されている。
その妖精は二千年前、一人の男に恋をし、彼の心を射止める為に人の心を操る禁術を行った為妖精王たちの審判を受けた。結果、魔力を奪われ、妖精界から追放となったのだが、どうしても恋心を諦めきれずに悪魔を召喚し、愛しい男の愛する女神を殺したのだ。
妖精王たちは闇落ちした妖精を倒そうとしたが、悪魔と契約し力を増した妖精には手も足もでなかった。その為妖精の愛した男の協力を得て、妖精を騙し、封印することにしたのだ。
その妖精、デビリアスの封印の前に一人の妖精が立っていた。
『デビリアス様、時は満ちました』
妖精が黒く光る石を封印の石像の前に置いた。すると眩い光を放ち、石像が吹き飛んだ。
砂埃が収まると、一人の少女が立っていた。少女は青く艶めく髪を肩まで伸ばし、金色の瞳を持っていた。簡素な白いワンピースを身に纏い、足は裸足、足首に鉄の枷を嵌められていた。
『デ、デビリアス様?』
妖精は恐る恐る少女に近づいた。少女は鋭い視線を妖精に向けた。
「デスターかしら?ずいぶんと時間がかかったわね?」
威圧を含んだ視線にデスターはクラクラしながらもデビリアスの前に跪いた。
『も、申し訳ありません。長らくお待たせいたしました』
デビリアスがひと睨みするとデスターの両腕がストンと切り落とされた。その瞬間、血飛沫が辺りに飛び散り、デスターは痛みに悶絶した。
『ああああああーーー。うぅー。痛い痛い痛い痛い。デビリアス様。お助けを。痛い痛い痛い痛い』
デビリアスが指をパチンと鳴らすと、デスターは元の健康な状態に戻った。
「もう、うるさいわね。で、あいつはこちらにきているの?」
『も、申し訳ありません。はい。今はフィオナ・マキナムと名乗っております』
デスターは冷や汗をダラダラと流していた。
「そうなのね。もちろんあのお方も近くにいるんでしょ?」
『まだ確証はありませんが、おそらくエドワード・マーフィス王太子があのお方かと存じます』
「また王子になってしまったのね。あのお方は国を治めるのがお好きなのね」
『デビリアス様はいかがなさいますか?あのお方と恋仲になることをお望みですか?』
「そうね。まず第一の目的はあいつを殺すことよ。あいつの半身は天界にいるからそれも引きずり出さないと行けないのよね。あいつがいなくなったら私が代わりに女神になってあのお方を幸せにするわ」
『かしこまりました。天界にいる半身については、闇の魔神様がご協力していただけるそうでございます』
「あら、そうなの?闇の魔神はあいつの婚約者だものね。なんだか面白くなりそうね。あはははは」
『闇の魔神様は婚約者とお子をもうけてから殺して欲しいとの願いがあるのですが、いかがなさいますか?』
「んーまぁいいんじゃないかしら?いっぱい焦らして殺してあげるのも面白いわね」
『かしこまりました。ではそのようにお伝え致します』
「私のお城は以前のままかしら?」
『はい、修繕をし、侍女もおりますのですぐに住める状態となっております』
「では、城に向かいましょう」
デビリアスがまた指をパチンと鳴らすと二人は姿を消した。




