3 心配事 side ダリル
少し短めです。
フィオナとエドワードが甘い時間を過ごしていた頃
、ダリルは邸のリビングのソファーに座って届いたばかりの入学案内の冊子を眺めていた。
(入学式の日は夜会もあるのかー。んーパートナーが問題だなぁ。姉上はエドワード殿下と行くことになるのかな?)
マキナム家は魔力が少ないことで有名な家系であり、男児は代々騎士としての努力を惜しまない為、騎士学院に行くことが常である。
ダリルも産まれた頃は母親程ではなかったが、魔力が少なかった。しかし魔力の強いフィオナと一緒にお腹の中で育ち、産まれた為か徐々に魔力が強くなっていった。今では平均以上の魔力を所持し、もちろん剣技も兄程ではないが腕の立つ青年へと成長しつつある。
ダリルは視線を感じ、冊子から顔を上げた。
「ん?兄上!?今日お帰りでしたか」
リビングの扉の所からじっと見つめているキースを見つけて思わず駆け寄った。
「あぁ。領地の勉強は区切りがついたからひとまず帰ってきた。来年には結婚式もあげて、この家を出ることになるから『暫くはご実家で兄弟仲良く過ごされては?』とのことだ」
「なるほど。では暫くはこちらにおられるのですね!」
来年16歳の成人を迎えるキースは隣国の王女と結婚式をあげ、父であるアレキサンドロスが賜った伯爵の爵位を継承することが決まっている。
国が違えば法も違う為、キースは隣国へ勉強に行っていた。王女の婚約者ということで王城にて、領地の統治を代理でしてもらっているアレキサンドロスの兄が教えていた。
キースの剣技に惚れ込んだ王女からの熱烈なアプローチによって結ばれた婚約だったが、キースが騎士の心を熟知している王女に惚れるのもあっという間で今も良好な関係を維持している。
「ところで、何をそんなに真剣に見ていたんだ?」
キースはソファーから落ちた冊子を拾い上げた。
「ん?ダリルは貴族学院に入るのか?魔導学院ではなく?」
「はい。迷ったんですが、姉上が心配で…」
「あー箱入りであの見た目、しかも王太子の婚約者、だから敵も多いだろうな。だが、今年はコンラッド殿下もが入学される、警備も厳重だろうし大丈夫じゃないか?」
「命の危機からは守られるかもしれませんが、令嬢たちの嫉妬の目からは守れませんよ。そして変な虫がつくのも嫌ですから」
「女の世界は怖いからな。さすがに女神様にたてついたり、言い寄ってくる奴はいないんじゃないか?学院は魔法が制限されているからあの瞳を誤魔化す魔法は使えないだろ?」
「僕たちは姉上を女神様の生まれ変わりだと知っていますが、他の者たちは知りません。変にイチャモンつけてきて姉上が傷つくのは見たくありません」
「そうだな。フィオナは人の悪意に鈍そうだしな」
「はい」
ダリルは苦笑した。
「フィオナはダリルが貴族学院に入学することを知らないと思うぞ。きちんと話しておいた方がいい」
「そうですね。入学式の夜会の件もあるのでちょっと話してきます」
「あぁ、行ってこい」
ダリルは邸を出て別邸の方へ歩みを進めていると、別邸からエドワードが出てくるのを見かけた。エドワードはダリルに気づかずに、頬を赤く染め笑みを堪えるように口を引きむすんでいた。
(姉上と密会してたのかな?もしかして夜会の件で話をしたとか?)
ダリルは護衛二人と軽く挨拶をして別邸へ入って行った。




