2 やきもち
イチャイチャ回です。
エドワード王太子のお披露目から数日が経った。
貴族の間では、エドワードの婚約者はファーストダンスをしたファレル伯爵令嬢であるエリーゼではないかと噂されていた。エリーゼは黒髪を持って産まれたことで軟禁生活となっていたが、次期国王であるエドワードが黒髪ということが知られ表舞台へ出てきた。父であるファレル伯爵はアレキサンドロスと宰相の座を争った切れ者であり、野心家でもあったことから娘を王太子妃に、と画策している。
エリーゼも父に似て野心家であり、王太子妃という地位に並々ならぬ切望を抱いている。14年間外に出れずに押さえつけられていた少女はやっと日の光を浴び、これから始まる素敵な王子様との恋に歓喜している。
残念ながら、エドワードとエリーゼの噂はフィオナの耳にも届いていた。夜な夜なありもしない婚約破棄に怯えてシクシク泣いていた。そんなフィオナを始めはただ見守るメアリーだったが、いつまでもシクシクメソメソしているフィオナに我慢できなくなってきた。
「フィオナ様、ただの噂ですよ?エドワード殿下の婚約者はフィオナ様なんですから」
「分かってるわ。でもとってもお似合いだったし、年齢も近いし、楽しそうにダンスされていたんだもの」
「しっかりしてください!王太子なんですから令嬢やら王女やらが王太子妃の座を狙うなんて当たり前なんですよ?フィオナ様は正式に婚約されているんですから自信を持ってください」
「うぅ。ごめんなさい」
「エドワード殿下は王太子ですが、フィオナ様は女神様なんですよ?女神様の方がよってくる輩がわんさかでてきます。王太子よりもです。なのでエドワード殿下の方がこれからヤキモキさせられます。フィオナ様以上に。なのでご安心下さい、エドワード殿下の方が苦しみを味わいますので」
メアリーはニッコリと微笑んだ。
フィオナはギョッとした。
(メアリーが怖いわ…)
『フィオナは妖精王にも人気よー。妖精王の妃になって欲しい』
「えっ!?妖精王の妃?」
「ダメだ。フィオナは俺の妃だからな」
いつの間にか開いていたドアからエドワードが入ってきた。
「エドワード殿下…」
「フィオナ、二人で話がしたい」
メアリーはリアを連れて部屋を出て行った。
(うぅ。緊張する。話ってなんだろう?婚約発表のことかな?)
「フィオナ、俺が心から恋焦がれるのは君だけだ。この二年、ずっと君のことを想ってきたし、これからもそれは変わらない」
エドワードはフィオナの両肩に手を置き、とても真剣な眼差しで伝えた。
(あの噂のこと私が気にしているの知ってたのね)
「俺が王太子になったのはフィオナを逃さない為なんだ。フィオナは自覚がないみたいだが、とても魅力的なんだ。滑らかで透き通るように白い肌、艶やのあるピンクの唇、潤んで見上げる瞳はとても澄んでいる、全て魅惑的なんだ。そんなフィオナを他の男はほっておかない。
コンラッドが王太子になれば、その権力で妃にすることも不可能ではない。現にまだ婚約者候補から外れてはいないしな。俺が王太子になればコンラッドにフィオナを奪われることもない。
二年間も外出を制限したのも俺が側にいられないうちに知らない男に奪われないようにする為だったんだ。俺の婚約者がフィオナだと知る者もいて外出が危険ということももちろんあったが…」
「い、いつものマックスじゃない…」
「もうエドワードだからな。変な噂に惑わされて毎夜泣いてると聞いたからもっと気持ちを伝えなくては、と思った。
こんな俺は嫌いか?」
「好き。エドワードが私じゃない女の人に触れるのも微笑むのも嫌。私だけのモノなのに…」
フィオナは真っ赤になって首を横に振った。
「ふふ。もうフィオナ以外とダンスもしないし、微笑んだりもしないよ。フィオナ、愛してる」
そっと口付けが落とされた。何度も何度も口付けを落とされ、次第に深くなり、舌を絡ませ合った。フィオナは息も絶え絶えになり、腰の力が抜けてしまった。エドワードがグッと引き寄せベッドに押し倒された。口付けは首にうつり、ピリッと痛みがはしった。
「俺の愛情は伝わったかな?」
フィオナは言葉を発することが出来ずにコクコクと頷いた。




